浅越ゴエ 山野…新しいジャージ **ゴエゴエフドウサン
おーい!久馬 橋本…中日のキャップ **キュウマ
なだぎ武 小川…ケミカルウォッシュ **ディラン・マックイ
鈴木つかさ 木田…キャミソール **ノーマルスズ
ヤナギブソン 野口…ジーパン **ギブソンインパクト
※ただし、役名は劇中で出てこないことが多く、(出てきたのは山野、橋本ぐらいじゃなかろうか)彼らの役名はオープニングVTRにて紹介されたもの。
昼公演・夜公演、2回見たので、変わっていないところはそのまま、どちらかのみであったものは「1回目」「2回目」と書きます。
舞台は、まずは公園。奥に白いベンチがひとつ。
頭上には青空が広がっている。
その空を見上げたまま、動かない男2人。
しばらく動かず…、やがて口を開く鈴木さん、ギブソンさん。
「やっぱり、帰ったんちゃう?」「誰かが持っていったとか」
ギブ「今、何時?」
鈴木「12時5分。この時計、遅れてんねん」
ギブ「えっ!?お前、ここに来てそのミスはないやろう…。ミスは俺ひとりで充分やねんから…」
うしろのベンチに腰掛ける2人。下手にギブソンさん、上手に鈴木さん。
ギブ「お前、なんでそんな時計してるん?」
鈴木「ラッキーアイテムだから」
意気消沈するギブソンさん。ふと、ベンチに置き忘れられていた馬券に目をとめる。
それは今日のレースの馬券。
3連単の一点勝負。事前に情報があったか、それともよっぽどの自信がなくては買えない買い方をされた馬券。
2人はなにごとかを喋りながら…暗転。
オープニングVTR
コソ泥をしているギブソンさんと鈴木さん。(「見晴らし」のオープニングVTRみたいな、静止して役名がローマ字で表示される。)2人は、タッチの差で、何やら上機嫌なゴエちゃんと間一髪、はち合わせしかける。(ゴエちゃんの役名表示。)階段を降りたその先で、絵のかかった壁の前に立っている久馬さん(役名表示)。そして、何やら工場内で、ひとりで座ってパンをほおばる灘儀さん。(役名表示。)
これらのVTRの合間合間に、この物語に登場する小道具や、シーンがちらちらと映る。
「競馬場」、「赤い服を着た男の絵」、「黒い大きめのかばん」、「何かの本」。
(数からすると、これで4つなので、もうひとつ何かキーワードとなる小道具があるような気がするのですが…覚えていません。完全に忘れました。笑)
VTRの最後は、5人が横一列に歩き、画面が激しくチカチカと点滅。
最後の点滅はおっそろしく激しくて、ポケ○ン事件を思い出しました…(コラ)。
いや、それぐらい凄い点滅だったんです。こんなにチカチカさせて大丈夫かなぁ?とか思いました(笑)。
暗転中のオープニングVTRの間に、セットチェンジ。
下手側は、ちゃぶ台ひとつ、後方にふすま。
上手側は壁に飾られた絵。数が多く、上手側の中央寄りに置いてある机にも立てかけられていたり。机の上は割りと雑然。電話が置いてある。
まずは下手側のセット部分が明るく、上手側の部分は暗い。
下手側が明転。ひとりでテレビの競馬中継を見ているギブソンさん。
「行け!行け!ゴエゴエフドウサン行け!」
大声援を送るも、ご贔屓にしているらしい「ゴエゴエフドウサン」は負けてしまい、がっくり。
下手側から、小脇にノートパソコンを抱えた鈴木さんが出てきて、チラッとテレビを一瞥。「勝ったん?」
ギブ「負けたわぁ。ギブソンインパクトが強すぎて、ゴエゴエフドウサンいっつも負けんねん」
2回目のみ
ギブ「ゴエゴエフドウサン弱すぎてアカンわー」
鈴木「いっつも負けるのにお前必ずゴエゴエフドウサンに賭けるな」
ギブ「今日こそは今日こそはと思うねんけど、ギブソンインパクトが強すぎて…」
ギブソンインパクト>ゴエゴエフドウサン。
だらだらと寝そべっているギブソンさんに、鈴木さんがそんなことより、「ガキは?」と。
ギブ「寝てる」
鈴木「気楽なもんや…」
机の上にノートパソコンを広げ、「山野達夫」という男についての情報を読み上げる鈴木さん。
不動産会社の社長であるが、裏ではあくどいことをやっているらしい…みたいな感じの。
どうやらこの2人、山野の娘を誘拐してきたらしい。
身代金をいくらにするか聞くギブソンさん。
鈴木「そうやなー、1000万、てところかな」
ギブ「お前、こんなでっかい会社の社長やったら、もっととってええんちゃうか?」
鈴木「アホやなー。ええか、こいつにとっては1000万なんて大した額やない。はした金やねん。せやから警察に通報もせんと、1000万ぐらいぽーんと出すやろ」
それじゃあ、と、身代金要求の電話をかける為、携帯電話を取り出す鈴木さん。
ギブ「お前、“184(イヤヨ)”ちゃんと押せよ!」
鈴木「分かってるわ」
おっそろしく“184”にこだわるギブソンさん。
1回目のみ、ちゃんと鈴木さんが“184”を押すか確認しようと、鈴木さんに接近し過ぎて。
鈴木「近い!!」
ギブ「あんな、“186”は関西弁なんやで。イチハチロク。“イヤヤロー”」
鈴木「イヤヤロー?ホンマや。それどうでもええわ」
さて、電話が繋がる。
上手側に、小脇にファイルなどを抱えたゴエちゃんが歩いて登場、携帯で電話を受ける。下手側はそのままで、上手側は立っているゴエちゃんのみにピンスポが当たる感じで。
ゴエちゃん、電話に出るなり、
ゴエ「はい、脇田さんですね、良い物件が見つかったんですよー。駅から40分で家賃が25万」
鈴木「高くない!?それ高くないか!?それに、脇田ちゃうし。あのな、お前の娘を」
ゴエ「あっ、これは失礼しました、脇本さんですね!」
鈴木「おい、違う、お前受話器置いてるやろ!!」
ゴエちゃんはまったく聞く耳持たず、携帯を床に置き、膝をついて持っていたファイルをめくり調べている。
ゴエ「はい、お待たせしました。駅から40分で家賃が25万」
鈴木「さっきと一緒やん!なんで調べたん!?ていうか、脇本でもないねん」
ゴエ「あっ、ワキガさんですか!それならですね」
ゴエちゃん、またも携帯を床に置き、膝をついてファイルを調べる。
鈴木「だから受話器を置くな!あとワキガって嫌!」
なんとか要求を伝える鈴木さん。
「明日の12時丁度、1000万をボストンバックに詰め、そのカバンを公園の真上を走る高速道路から、公園に落とす」
ゴエ「ははーん、それはアメリカのニュージャージー州で起こった誘拐事件の手口と一緒だな?」
(みたいな、その「ニュージャージー州の事件」のことを、長々と説明。ゴエちゃんひとりで勝手に喋っていて、完全に鈴木さんはおいてけぼり。)
とにかく、要求は伝えた。
鈴木さん、電話を切り、
「交渉成立や」
ギブソンさん、電話が終わるのを待っていたが、
「ホンマか?お前後半ずっと黙っとったやん。ほんで“一緒や!”とか“受話器を置くな!”しか言うてへんかったやん」
まぁ、ともかく交渉が成立したことには変わりなく(笑)。
ギブ「あ、そうだ。俺らもさ、“ジーパン”みたいにあだ名で呼び合わへん?」
鈴木「お前なぁ、遊びやないねんぞ?それにそれはデカのほう。真逆やないか」
ギブ「ええやん。俺“ジーパン”とった!」
鈴木「まぁなんでも良いけど。俺、この前くすねた絵を売ってくるわ」
ギブ「おう、気をつけてな、“キャミソール”!」
鈴木「誰がキャミソールやねん!?」
下手側、暗転。
絵が沢山ある上手側、明転。
作業服姿の灘儀さん。彼が勤める工場が、不況で経営状態が良くない。
おまけに1000万の借金まである。
その話を、友人の久馬さんに聞いて貰いたかった灘儀さん。ひととおり話せて、ホッとした様子。
灘儀さんの父親は、骨董品などが好きで集めていたらしい。
そして、その中に「赤い服の男の絵」もあるらしい…。と、
久馬「赤い服の男…!?」
過剰に反応する久馬さん。
2回目のみ
それまで何のリアクションもなかったのに、灘儀さんが「赤い服の男の絵が…」と言った瞬間、不自然なタイミングで「赤い服の男…!?」と反応。
そしてそのまま、また何事もなかったかのように(笑)ゆっくりと腰掛けていた机の椅子に戻る…そこに灘儀さんが「赤い服の男の絵が…」というと、再び綺麗なリアクションで「赤い服の男!?」と反応する久馬さん(笑)。
「赤い服の男の絵」は、どうやら結構な値打ちがする絵らしい。
だが、その絵も今はどこにいったのか分からない。
「赤い服の男の絵さえあればなぁ…」という灘儀さんに、「赤服?…赤福(餅)?」
灘儀「それは…伊勢のほうに行けばあるかもしれませんが…」
そして尋常じゃない速さで、伊勢という訳で「ええじゃないか」を踊る灘儀さん(笑)。1回目も軽く踊ってたんですが、2回目のほうが輪をかけて凄い踊りに!!(笑)
で、2回目
「踊ってちょっと楽しかったですけど(笑)、とにかく話を聞いてくださっただけで良いんです」
と、帰ろうとする灘儀さん。
すると、そんな灘儀さんを引きとめる久馬さん。
久馬さんは、最近占いに凝っているらしい。それを誰かにやりたくて仕方がなかったらしい。
その名も「服占い」。
灘儀「服占い?」
久馬「ちょっと前に流行ったやろ?動物占い。あなたは○○ですー、って動物に当てはめるやつ。それの服バージョンやな。衣食住の“衣”や。“い”占いやな。“衣(ころも)”とも読むからな。“ころも”占いや」
灘儀「さっきからどんどん変わっていっているんですけどどれがほんとなんですか」
久馬さん、一冊の本を取り出し、パラパラとめくる。占いと言っても久馬さんが占うわけではなく、既成の本に書かれていることを久馬さんが読み上げるだけです。
生年月日を聞かれ、答える灘儀さん。これはホントに灘儀さんのそのまんまの生年月日を答えていました。
結果。
久馬「ケミカルウォッシュ」
灘儀「ダサい!!」
ラッキーカラーは赤。
1回目のみ
久馬さんが、「酒いっぱい飲んで顔真っ赤にして、“ブッシュに言いつけたる!”って言えばいい」という、今さっきうめスタのネタでやっていた、矢野・兵動さんのネタを(笑)。
ラッキーナンバーは「3と6と9」
久馬「ちょうど3の倍数で覚えやすい」
じゃあ、この番号で馬券でも買ってみるわ、と、冗談まじりで言う灘儀さん。
ちなみにこの「服占い」、久馬さんの結果は「中日のキャップ」
という訳で、最後に去ろうとする灘儀さんに向かって、なんか中日関連の…落合さん関連の言葉を言っていたんですが、野球に詳しくないわたしは忘れてしまいました…。
灘儀「それ占いの結果で“中日のキャップ”が出たから言っただけなんじゃないんですか!」
久馬「そうや」
「あ、でも…」
今度こそ本当に去ろうとする灘儀さんに向かって、久馬さんは最後に、言った。
「神様は、お前のことをずっと見とるはずや」
2回目のみ、
このとき、久馬さんが引きとめるのがめっちゃ遅かったんです。
灘儀さんがハケようとして、そして引き止めなくてはならないのに、もう灘儀さん結構幕の後ろまで行ってから声をかけるもんだから…(笑)
灘儀「あのね!引きとめるなら、もうちょっと手前で引き止めてくれませんか!?いや、わたしもね、別に引き止めてほしかったわけじゃないんですがね!(←笑)あなたが引きとめたそうにしていたから、ちょっと待ってただけなんですがね!」
という訳で、「神様はずっと見ている」という久馬さんのセリフも、半笑いです。
灘儀さんが去ってから、いそいそと自分の占いを読み始める久馬さん。
久馬「えー…“中日のキャップ”の今日の運勢は…織田裕二のように“キター!”と叫ぶ。古い!この本古いねん!昔やってた目薬のCMな。何年前の本やねんこれ…」
そこにやって来たのは、先ほど「この前盗んできた絵を売ってくる」と言っていた鈴木さん。絵を持って上手側から登場。
1回目のみ、
鈴木さんが「まいどぅー」と言って入ってくる。
が、なんのことか分からなかったので、客席もきょとんとしたものでした…。
これの謎が分かったのが、2回目、劇が終わったあとのネタで、矢野・兵動さんのネタのとき。
どうやら矢野・兵動の矢野さんが、うめだ花月の楽屋でやりまくって流行らせているのが「まいどぅー」なんだそうです(笑)。
だから「まいどぅー」だったのか!
しかし2回目は、普通に「まいどー」と言って入ってくる鈴木さん。余りの反応のなさに、諦めたんでしょうね(笑)。
さっそく久馬さん、「服占い」に凝っていると話し、鈴木さんの生年月日を聞く。
ここで答えたのも、鈴木さんのほんとの生年月日でした。
で、結果。
久馬「キャミソール」
鈴木「誰がキャミソールやねん!?」
その反応に驚く久馬さん(笑)。
鈴木「なんっか今日はキャミソールってよく呼ばれるなぁ…」
そんな鈴木さんの今日の運勢は、
久馬「簡単に騙されるかも、要注意」
ラッキーアイテムは「少し遅れた腕時計」
それを聞き、鈴木さんは自分の腕時計を少しだけ、5分だけ遅らせる。
そんなことより、絵を売りにきた鈴木さん。
そして彼が持ってきて見せた絵は、「赤い服の男の絵」だった…!
久馬「キター!!」
久馬さん、膝をついて目薬を刺す仕草をしながら絶叫、ガッツポーズ(笑)。
ビックリする鈴木さん、「織田裕二?え、織田裕二?」
久馬「うわぁ…これは凄いですよ…1億…、いや、1000万、いや、500万…」
鈴木「下がってない!?どんどん値段下がってない!?普通どんどん上がっていくもんちゃうやろか」
最初1億だったのになぁ…、いや、でも500万でも凄いか、と鈴木さんがぶつぶつ言っていると…、
ふと、久馬さんが、何かを考えたのか、わずかに動きを止める。
そして、
「…これ、ニセモノですね」
先ほどまであんなにも興奮していたのが嘘のように、久馬さんはそれを「ニセモノ」だと決め付けた。
虫眼鏡を取り出し、ほら、ここ見てください、と。
ちなみにその絵の赤い服は、長袖の赤い服です。
1回目
久馬「ほら、ここのね、赤い服、これ本物はランニングなんですよ」
鈴木「えっ、それじゃさっき1億とか言ってたのはなんなんですか、パッと見てニセモノだって分かるやないですか!」
2回目
久馬「これねぇー、本物は七分袖なんですよねぇ…」
鈴木「うわぁー、あとちょっとここ(袖)が短ければ本物かぁ…!」
この「赤い服の男の絵」はニセモノだが、よく出来たニセモノなので、五千円(確か五千円だったような…。違ったかも。)で買い取ってやる、と言う久馬さん。
しかし、鈴木さんは「五千円!?そんなんやったらいりません、もうそれは勝手に処分してください」、と店をあとにする。
そして、鈴木さんが帰ったあと、「赤い服の男の絵」を満足げに眺め、久馬さんはひとりでつぶやく。
「簡単に騙されるかも、要注意…」
そして電話をかける。
久馬「もしもーし。……高い高い!」
(しばらく待ったあと)
久馬「一緒!一緒やん!!」
鈴木さんが身代金要求の為にゴエちゃんにかけた電話、「駅から40分で家賃が25万」、そのときの鈴木さんと同じツッコミをする久馬さん。
どうやら電話の相手はゴエちゃんのようです…(笑)。
暗転。
明転すると、そこは応接室のような場所。
ソファーと机。背後に扉。
ゴエちゃんに、「赤い服の男の絵」を500万で売った久馬さん。
さっそくゴエちゃんにも「服占い」を始める為、本を取り出す久馬さん。
ゴエちゃんも答えたのは自分の生年月日です。
結果。
久馬「新しいジャージ」
ゴエ「新しいジャージ…?ニュー…ジャージー…」
久馬「え?」
ゴエ「いや、なんでもない…」
1回目のみ
社長との会話で、
ゴエちゃんが、「わたし、本名“やまの やまお”です」と名乗る(笑)。2回目に聞いていたら、ちゃんと鈴木さんが最初に「山野達夫」という本名を言っているのに…。
それを受けて久馬さん、「ああ、それで(この事業で)山を築いた、と」
ゴエ「いや、別に」
このやり取り、最高でした。
何が最高かって、ゴエちゃんが「やまの やまお」と、しらっとボケて、それに対して久馬さんが「それで山を築いた」とボケをかぶせる、そしてそのボケをあっさり「いや、別に」、と冷酷に切り捨てるんです(笑)。
この
「いや、別に」
のあっさりすっきりさっぱりとした切り捨て方ったらなかったです…!!
1回目しかなかったんで、アドリブだったんでしょうか…。もう、これはホント好きでしたね、ゴエちゃんの言い方が(笑)。
ちなみにゴエちゃんの衣装が、スーツなんですが軽く胸元をはだけていて、あらやだセクシー、とか思ったのを覚えています。
どうでもいいですねそうですね。
ところで、ゴエちゃんは絵画を集めることが趣味。
でも、沢山あり過ぎて、ちょっとタイトルを忘れてしまった絵もあるらしい…。
ここは大喜利コーナーです。
ゴエちゃんが何枚か久馬さんに「タイトルを忘れてしまった」絵を見せて、そのタイトルを久馬さんが答える、というもの。
1回目
1枚目「ネッシーの正体」(湖の絵)
2枚目「ラス2の晩餐」(食事をしているような絵画)
3枚目が、この日のキーポイントな絵になります。
なんだか恐ろしげな、テロでも起こっている惨劇を描いたかのような、ちょっとおどろおどろしい絵。
タイトル「四、五人」
「死後」と「四、五」をかけたのかしら、これはうまい!
実際は五、六人…人物はもうちょっと描かれていたかな…(笑)。
2回目
1枚目の絵は、なんだかふんわりしたタッチで、花のような、人のようなものが何人か描かれているふんわりした感じの絵。
これを見て久馬さんの答えは、
「四、五人」
…久馬さん?(笑)
思いっきりボケの使いまわし…。
で、実際ゴエちゃんが数を数えると、7人ぐらいだったのかな?だから「タイトルが“四、五人”でサブタイトルが“ホントは7人”」だそうです。
2枚目の絵は、ベッドに寝ている赤ちゃんの絵。タイトル「赤ちゃんポスト」
3枚目。
ここでやってくれるだろうなー、と期待していたのですが、ゴエちゃんが1回目の3枚目に出した、ちょっとおどろおどろしい感じの「四、五人」の絵を出します。
ゴエ「これは?」
タイトル「五、六人」
タイトルが1枚目の「四、五人」の絵と似ているので、どうやらこの2枚の絵を描いた人は同じ作者なのだそうです。
ゴエ「…画風変わったなぁ…」
ふんわりした「四、五人」と、おどろおどろしい「五、六人」(笑)
絵のタッチは全く似ても似つかぬものでした。
で、どうやらそのゴエちゃんのつぶやきの「画風変わったなぁ」がサブタイトルなんだそうです。「五、六人~画風変わったなぁ~」
そしてこの後、久馬さんの悪あがき。なんだ「六人」の「六」は岩の「ロック」のことだ、とか(岩も描かれていました)、この人(絵に描かれた人)はあだ名で「ロクちゃん」と呼ばれているだの…。
そんな久さんのボケを綺麗に切り捨て、
ゴエ「もういいよ」
久さんや灘儀さんのシルバー組のボケを止められるのって、ゴエちゃんなんだなぁ…、としみじみ思います。
ここも、まだボケを続ける久馬さんを見事に静止して大喜利コーナーを切り上げていました。
ちなみに、ゴエちゃんが2枚目の絵を取り出す際、小さな子どもが描いたかのような絵を取り出します。
その絵には「パパ」…だったかな、「おとうさん」だったかな?そんな文字が書かれていて、それはゴエちゃんの娘が描いてくれた、「おとうさんの絵」。間違えてその絵を出してしまうんです。
ゴエ「…おっと、間違えた。これはわたしの娘が描いてくれた絵なんだ」
それまで「これはかなり良い絵ですねぇ…社長が持ってたんですねぇ…」など言っていた久馬さん、その絵を見た瞬間、「0円です」
ゴエ「え?」
久馬「い、いや、値打ちがつけられません、と言う意味の0円、ということで…」
大喜利コーナー終わり。暗転。
応接室のセットがなくなり、舞台の手前のほう。何やら慌てた様子の鈴木さんとギブソンさん。
なんと、誘拐してきたゴエちゃんの娘が、目を離した隙にいなくなっていたらしい。
鈴木「なんでお前見張っとかなかったん!?」
ギブ「違うねん、お前の肩についたホコリが気になってずっと取ってたもんやから…」
鈴木「そうやったん!?振り向いたら良かったぁー!!」
逃げた女の子は、ひょっとしたらもう家に帰っているかもしれない。
という訳で、ゴエちゃん宅に探りを入れる為、携帯で確認することに。
携帯を取り出した鈴木さんに、またもや“184”にこだわるギブソンさん。ちゃんと押すかどうかしつこく確認。
鈴木「なんでそこはしっかりしとんのに子どもは逃がすねんな」
ゴエちゃん、今度は声のみ。
ゴエ「金はちゃんと用意した!金を渡せば、ちゃんと娘は返してくれるんだろうな?!」
鈴木「いや…、娘は、もう帰っているかもしれない」
ゴエ「はぁ?」
鈴木「金がなくても、娘は、帰ることもあるかもしれない」
(↑うろ覚え…。)
意味の分からないことを言ってしまう鈴木さん、とにかく現金は明日、12時丁度、受け渡しが行われる。
それまでに娘が家に帰ってしまっては意味がない。女の子を探すギブソンさんと鈴木さん…。
後ろの幕が開けると、そこは夜の公園。後方には白いベンチ。
久馬さんの占い(正確には久馬さんが持っていた本の占い)のラッキーナンバー、「3」「6」「9」の馬券を買った灘儀さん。しかし、当たるわけがない。
と、そこへ綺麗な服を着た小さな女の子が歩いてきた。
こんな時間に一体、と話しかけると、その子は母親を亡くし、父親は仕事ばかりで自分に構ってくれないから、自分は父親のことが嫌いなのだ、と言う。
灘儀さんは、その子に話しかける。
「お嬢ちゃん、ええ服着てんな。
それ、お父さんが買ってくれたんか?」
うなずく女の子。
「子どもに綺麗な服を着せたい、っていうのも、親の愛情なんやないかな」
そんなに綺麗な服を着せてもらっているのだから、彼女はちゃんと、父親から愛されている。
そのことを女の子に話すと、彼女は嬉しそうに笑った。
そして、もう遅いし、お父さんも心配しているから、家に帰るようすすめると、女の子は家路へと向かったのだった。
ここの部分は、凄く印象的でした。
書いたギブソンさんが、既婚者だからなのか…ギブソンさんの「お父さん像」みたいな…、子どもに対する愛情というか…。こういうのも、「親」の愛情なんだ、って考えている、ギブソンさんの考えが分かって。そう言ったものが見え隠れする灘儀さんと女の子のやり取りで、良いなぁ、と思いました。
また、このセリフを言っている灘儀さん自身も子ども好きですし、なんだか、「おとうさん」って良いなぁ、と…。この女の子とのセリフのやり取り、その女の子に対して言っている言葉ひとつひとつが、灘儀さんが言うととても素敵で、意味のあるものに聞こえて…。
ちょっとここのやり取りは、不覚にもじーんと考えさせられました。
その後、灘儀さんは公園のベンチに寝転がったまま、一夜を明かしてしまい…
目が覚めるとすっかり辺りは明るくなっていた。
「神様はいつも、お前のことを見とるで、か…」
そんなことを思いながら、ボーっとしていると…
なんと、空から鞄が降ってきた。
それは12時丁度に公園に落とすと言われていた、1000万の入った鞄。
だが勿論、灘儀さんは知る由もない。
やっぱり神様は自分のことを見ていてくれたのだ。「神様、ありがとう!」と、その鞄を持って借金の返済へと直行する。
鞄には、「娘は帰ってきた、金はくれてやる」と張り紙がしてあった…。
高速道路の上から鞄を落とすという設定なので、舞台の天井から鞄が落ちてくるんですが、1回目も結構ビックリしましたが、2回目、静まる劇場内に突如降ってくる鞄、もの凄い「ボンッ!」と音がして、灘儀さんはもとより、会場のお客さんもビックリ(笑)
灘儀さん、ビックリした表情で客席を見渡し、
「おい、俺はええけど、通行人もビックリしてはる!」(笑)
喜び勇んでお金を持っていった灘儀さん。
勿論、「3」「6」「9」の馬券のことなどすっかり忘れ、ベンチに置きっぱなしだ。
そこへ、鈴木さんとギブソンさんがやってくる。
そして、この劇の冒頭と、全く同じやり取りをする…。
頭上には青空が広がっている。
その空を見上げたまま、動かない男2人。
しばらく動かず…、やがて口を開く鈴木さん、ギブソンさん。
「やっぱり、帰ったんちゃう?」「誰かが持っていったとか」
ギブ「今、何時?」
鈴木「12時5分。この時計、遅れてんねん」
ギブ「えっ!?お前、ここに来てそのミスはないやろう…。ミスは俺ひとりで充分やねんから…」
うしろのベンチに腰掛ける2人。下手にギブソンさん、上手に鈴木さん。
ギブ「お前、なんでそんな時計してるん?」
鈴木「ラッキーアイテムだから」
意気消沈するギブソンさん。ふと、ベンチに置き忘れられていた馬券に目をとめる。
それは今日のレースの馬券。
3連単の一点勝負。事前に情報があったか、それともよっぽどの自信がなくては買えない買い方をされた馬券。
この3頭、「キュウマ」と「ノーマルスズ」と「ディラン・マックイ」は、まったくパッとしない馬なのだ。
そんな3頭に賭けるなんて…、そう言いつつも、どうせ当たらないだろうが持って帰ることにするギブソンさん。
暗転。
下手側、サスが当たる。そこには、久馬さんから500万で買った「赤い服の男の絵」を持ち、さて、どこに飾ろうかと思案中のゴエちゃん。
そして、そこに借金の返済をしに、灘儀さんが1000万が入った、空から降ってきた鞄を持って現れる。
そしてお互いの所有物を見…。
灘儀「あ、親父の絵」
ゴエ「あ、わたしの鞄」
暗転。
(ここ、セリフのテンポが良くて、上手くて笑えたなぁ…)
上手側。
画廊にて、久馬さんが電話をかけている。どうやら留守番電話のようだ。
「あ、もしもし、橋本です。
お父さんの絵が、びっくりする値段で売れたよ。
また、連絡します…」
ここのくだり、レポに起こすまですっかり忘れていました。
久馬さんがかけている電話の相手は、「お父さんの絵が、びっくりする値段で売れたよ」という口調から察するに、久馬さんの子どもだったのかな、と思います。
恐らく、子どもとは別居中なのかな、と。
ここで言う「絵」とは、「赤い服の男の絵」を差します。
「赤い服の男の絵」は、久馬さんが描いた絵だったのです。
そして、自分が描いた「赤い服の男の絵」が、高い値段で売れたことを、子どもに報告する「おとうさん」…。
多分、そういう意味合いだったと思っています。
電話を終え、競馬中継を見ている久馬さん。
最初はなんの気なしに見ていたようだったが、段々その表情が、「あれ?」と…。
それもそのはず、「3」番、「6」番、「9」番の馬3頭が、なだれ込むように1着、2着、3着に…。
久馬さんは自分が持っていた「服占い」の本を手にし、しばし、それを見つめたあと…
「気持ち悪っ!」
暗転。
「フォーチュンと僕たち」おしまい。
***
感想。
わたし、最後のこの久馬さんの「気持ち悪っ!」で暗転して、終わるところがすっごく好きです!
こうしてわたしたちがこの「フォーチュンと僕たち」という「劇」を見ていると、色んなところで色々な「フォーチュン」が起き、それらが絡まりあって、そして最後に綺麗にまとまっていく…、という素晴らしい劇なんです。
ところが、それはわたしたちが客観的にこの「お芝居」を見ているから。
もし、わたしたちが、実際の生活でこんなことを体験したら?
彼ら5人のように。彼らが体験したことのように、不思議な「フォーチュン」が起こったとしたら…?
…結局、反応は最後の久馬さんのように、「気持ち悪っ!」というのではないでしょうか?
だから、ここが好きです。最後のこの終わり方、絶品です。
変に美化してなくて、「ああ、そうだよね…。実際にこんなことが起きたら、気持ち悪く思うだろうなぁ…」、と、共感できるんです。
そこがなんだか、見ている人と等身大の目線で書き手がいるような気がして。好きです。
***
総評
初めてのギブソンさん作のお話でしたが、どうやらちょいちょい感想を見ていると、なかなか好評のようですね。
わたしは、イマイチ、と思いました。好きですけどね。
なんだか、物足りないかな、と。
「ギブソンさんが作ったお話」としての評価が高いのか、それ抜きで評価が高いのかは分かりませんが、わたしは、久馬さんの作品なんかを見ていると、このギブソンさんの作品だけでは物足りなく感じてしまいました。
「ギブソンさんが書いたお話」として、それだけで見ると、凄く素敵なお話なのかもしれませんが。
確かに色々な伏線は張ってありますが、なんだろな、全部のシーンが伏線となる場面であるだけに、「アドリブ」部分がなくなっているかな、と。
お遊びの部分、ちょいとニュアンスを変えられるセリフとかが、少なく思えました。
彼ら5人がきっちりと与えられた「フォーチュン」部分をこなさなくては、言わなくてはならない為に、なんだかその辺が、がっちり固められた劇、という印象でした。
そして、綺麗に繋がる伏線ですが、久馬さんの作品を見ていると、このくらいはやって当然、みたいなイメージがあるんですよね(笑)。
だから、最後のひとひねり(いわば、久馬さんの作品で言うような、あっと驚くような、足元をすくわれるような感覚のオチ?)が物足りなかった感じがありました。
「プラン9」の劇として見ると、ちょっと物足りなかったけれど、「ギブソンさんのお話」としては、凄く楽しめました。
結局、わたしも「気持ち悪っ!」のオチは大好きですし(笑)、このお話は素敵で好きなんですよ。
「久馬さんの作品」=プラン9
みたいなイメージが、今までの作品でどうしてもあるので、
「ギブソンさんの作品」=プラン9
というふうには思えない、というのがあるのかな。
この調子で、色々な人が、ちょっとした短編を書いてくれたらなぁ…、と思います。
ギブソンさんのお話もまた見てみたいですし、他のメンバーだったらどんなお話を書くのかな、と思います。
ただ、ギブソンさんは割りとこういった話が書ける人だと友人と話していたのですが、他のメンバーが40分程度の台本が書けるのか、そう言ったお話が作れる人なのかというと、ちょっと無理かも…?というのが正直な思いです^^;
そんな風になって、うめだの劇までもがコントスタイルみたいに過去キャラオンパレードになってしまってはがっくりするほかありませんし…。
ところで、わたしが「フォーチュンと僕たち」を見に行ったのは、2007年6月17日、日曜日。
6月の、第3日曜日。
「父の日」だったんです。
この日に「プラン9の劇」のスケジュールを組んだうめだ花月は…
まさかそこまで考えてはいませんよねぇ(笑)。
***
お疲れ様でした!