カテゴリーで公演名を確認して下さいませ。
とおし番号(1、2…)がある場合は、順番に読むと良いことがあるかも…、
もとい、順番になっています。
もっと読みたいものは、「つづきはこちら」からどうぞ。
2007年9月・10月うめだ花月ザ・プラン9の劇
「RE(アールイー)」
脚本/荻田ゆき
演出/鈴木つかさ
出演/ザ・プラン9 漫天
10月14日に、1回目と2回目を見に行きました。
1回目、2回目どちらかしかなかったものについては「1回目」「2回目」と書いています。
12月20日 レポ完成しました!
お待たせしました…!
ここが分かりづらいよ!とかあったら、どんどんツッコミ入れてあげてください。
…でも、わたしも結構忘れていたりするかもしれません…^^;
「RE(アールイー)」
脚本/荻田ゆき
演出/鈴木つかさ
出演/ザ・プラン9 漫天
10月14日に、1回目と2回目を見に行きました。
1回目、2回目どちらかしかなかったものについては「1回目」「2回目」と書いています。
12月20日 レポ完成しました!
お待たせしました…!
ここが分かりづらいよ!とかあったら、どんどんツッコミ入れてあげてください。
…でも、わたしも結構忘れていたりするかもしれません…^^;
+ + + + + + + + + +
劇中、役名が全然出てきません。
久馬さん→?
ギブソンさん→シン
灘儀さん→??
鈴木さん→?
ゴエさん→?
漫天・横山 隆文さん→サヤマ
漫天・谷川 友梨さん→?
犬→ポチ
セット
稚拙で非常に恥ずかしいのですが、図説↓
舞台を上から見た図です。

まず舞台の中央にあるのは、真っ白なペンキの塗られたベンチ。背もたれの真ん中に、黒のペンキで、カタカナで「ナガイ」と書かれています。
ベンチの後ろに、まず上手側には石塀。石塀の後ろには緑色の植え込みが見えています。
下手側は、木の杭の内側に岩があり、池になっています。
ベンチの後ろの石塀と池との間には隙間というか道らしきものがあり、上手側に繋がっているようです。
ベンチの手前にあるのは、上手側に緑色の、野球のフェンスみたいなものがあるだけ。
上手にハケるときは、そのフェンスの後ろを抜けていきます。
ふう…。セットを説明するのに初めて絵を使ってみましたが、いかがなものでしょう…分かりやすいでしょうか。余計分かりづらいでしょうか(笑)。ちなみにわたしはもの凄く恥ずかしいです(笑)。
暗転中、始まる前に、公園で遊んでいる子ども達の声が流れます。
その声と共に幕が上がり、舞台には下手側に、ホウキで公園を掃いている灘儀さんが一人。いかにも「公園の用務員」です、といった感じの薄灰色のツナギ姿。
背景の照明は明るく、快晴の青。
…と、上手側から、野球のボールがてんてんと転がってくる。そしてそれを追いかけ、久馬さん登場。
2回目のみ、勢いよく飛び出してきた久馬さん、舞台床でごろっと一回転してボールをキャッチ。
灘儀「ああ、キャッチボールですか…」
久馬「ええ、息子とね」
休日、息子と遊んでいるらしい。
久馬「息子はこの公園が大好きでねぇ。あ、でも、公園は好きだけど、なんか掃除してる変なおっちゃんは嫌い言うてましたわ」
灘儀さんのことを、「御堂筋パレードよりおもんないおっちゃん」呼ばわり。
ちなみに、どうやらこの10月14日の日は「御堂筋パレード」なる、それなりに大きな催しがあったらしく、ことあるごとに引き合いに出されました。結局「御堂筋パレード」とはなんだったのでしょうか(笑)。
2回目のみ、久馬さんが灘儀さんの持っているホウキを指し、
久馬「そのホウキが七三に見えるのがおもんないって言ってましたわ」
灘儀「ホウキが七三に…わたしこの七三具合がとてもおもしろいと思っていたのですが」
もう図説したくないんですが…(笑)
「ホウキが七三」、要するにこういうこと↓です

灘儀さんが持っていたホウキの、履く部分が…。
息子とのキャッチボールがとても楽しいらしく、ウキウキ気分の久馬さん。
久馬「あなたも、お子さんが出来たら分かるでしょう」
灘儀「いえ、わたしは、無理ですよ」
ボールを持って、息子のもとへと帰る久馬さん。
それを見送り…暗転。
*オープニング*
舞台上に、↓のように並ぶ一同。
鈴木 灘儀 久馬 ギブ
ゴエ 横山 谷川
↓こちら側が客席。
全員、客席に背中を向けて直立不動。
照明が、緑→オレンジ→赤→青→白、と、一色ずつ増えて重なっていく。
最後に、背景に「RE」の文字が浮かび上がり、暗転。
明転。
横山さんが車椅子に乗っていて、その車椅子を押している鈴木さん。
横山さんは入院着。鈴木さんは、2回目は確か野爆Tシャツを着ていたような気がします。
車椅子の車輪を浮かしたり、元気いっぱいの鈴木さん。1回目のみ、「ほーれ!」と勢いをつけて車椅子を押して、手を離す。
車椅子はセットの野球のフェンスに激突。
セットの位置がめっちゃ動いてズレた為、さすがに「えっ!?これこんなに動くんや!」とビックリする鈴木さん。
心なしか、このせいで上手側の出入りが狭そうに見えたのは気のせいでしょうか(笑)。
さすがに懲りたのか、2回目はそこまで無茶はしませんでした。
明るい鈴木さんとは裏腹に、横山さんはかなり暗い表情。
そんな横山さんを元気付けようと、鈴木さんは公園のベンチに座り、あれこれ話しかける。
鈴木「昔さ、サチと3人で山登りに行ってさ、お前石につまづいてコケたよな」
横山「…(無言、ずっとうなだれている。)」
鈴木「…。そっか、そっか…。あっ、あれ覚えてる?サチと3人で温泉行って、お前石鹸踏んでコケたんだよな。お前よく考えたらいっぱいコケてるな!」
横山「…(無言のまま。)」
どうやっても元気を出さない横山さんに、業を煮やした鈴木さん。
鈴木「そんなお父さん、俺は嫌やぞ!」
横山「えっ…?なんで…」
横山さんには、もうすぐ子どもが生まれるらしい。それを聞いた鈴木さんは、親友として、横山さんを元気付ける。
「よし。
歌おう」
歌!?と笑いが起きるんですが(笑)、鈴木さんが歌いだしたのは「線路は続くよどこまでも」。
暗い顔だった横山さんは、途中から鈴木さんと一緒に歌いだす。
そして、元気が出たのを見てホッとした鈴木さんは、よし!と歌うのをやめようとするが、横山さんは構わずそのまま歌い、途中から歌詞が分からなくなった鈴木さんは適当にハミングして合わせる。
鈴木「おお…フルコーラス歌ったな…」
横山「あんな…俺…」
ん?と鈴木さんが聞くと…
横山「もう、治ってんねん」
と、車椅子からぴょんと立ち上がり、まさに健康そのもの、という体の横山さん。
「ええええ!?」と鈴木さんが驚いていると、「ええええー」と、下手側から声が。
灘儀さんが登場し、「いやぁこれは恥ずかしいなぁええ?めっちゃ恥ずかしいやんなぁ、彼、めっちゃ励ましとったのに、もう治ってたんやって!もう治ってたのにこんな励ましてめっちゃ恥ずかしいやん!こんな恥ずかしいことってある?」
1回目は、鈴木さんの「誰!?」みたいな驚きにも、「こんな恥ずかしいとこを見てしまってわたしもうここにはいられません」みたいなことを言ってハケる灘儀さん。
2回目は、横山さんが、健康体なのに鈴木さんが励ましてくることについて、「迷惑です」と言うところを、
横山「迷の惑です」
これには灘儀さんも一瞬びっくりしたようで(笑)、
灘儀「迷の惑。迷の惑か。迷の惑なんやな、びっくりしたで、噛んだんかと思った」
2回目はこの、横山さんのアドリブだと思われる「迷の惑」発言が、どうやらプランのツボに入ったらしく(笑)、この後結構、いろいろなところで「迷の惑」は出てきます。
ちなみに、一番最初、公園で久馬さんが息子とキャッチボールをする場面では、灘儀さんの髪の色は黒です。
が、ここのシーンからはずっと、灘儀さんは頭にベビーパウダーらしきものをつけて、白髪のおじいさんになっています。
すっかりピンピンな状態の横山さんは、車椅子を押して鈴木さんをそこに座らせ、「線路は続くよどこまでも」と歌いながら、下手側にハケ。
照明は、夕焼けのオレンジ色。
誰もいない公園に、便箋を片手にやってくる久馬さん。
便箋は長方形の、横書きのもので、表紙に何か書いてあったのですが、どうしても読み取ることが出来ませんでした。
上下黒のスーツに、白いシャツ。
ふう、とベンチに座ると、おもむろに便箋の表紙をめくり、手紙を書き始める。
2回目のみ、上手から登場し、ベンチまで歩いていた久馬さん、
なんとガチで、セットのベンチに足をぶつけました(笑)。
思いっきり「ゴン!」と音がして、久馬さんはそのまま素知らぬフリでお芝居を続行しようと…したのですが、会場がもうくすくす笑ってしまっていて(笑)、たまらず久馬さんも笑ってしまいます(笑)。
「アオい空」でセットの階段に足をぶつけたり、梅田の駅で階段から落ちたり、
久馬さん、結構注意力散漫なのかしら…。(気をつけてくださいね…)
手紙に書く内容は、
「あやめへ…」
2回目は、「あやめへ。足を打っちゃいました。…なんのことや!」
なかなか上手く書けないご様子。
「あやめへ…
あやめへ…
あやめへ…
あやめへ…(便箋の上から下まで全部「あやめへ」で埋めたようです。)
うわあ同じ平仮名を繰り返し書いていると、これが本当にこういう字だったのか分からなくなるー!
書く相手がほんまに“あやめ”だったのかどうかも分からんくなってきた。
め?「め」ってこういう字やったっけ?もっとこう…こんなくるっと…」
失敗。書き間違えた便箋をビリッと破り、くしゃっと丸めてその辺にぽいっと捨ててしまう。
が、なんとここも、2回目の出来事。
本来ならビリッと綺麗に破くはずの便箋が、破るのに失敗した久馬さん。
…踏んだり蹴ったりですね…。
書く文章をぶつぶつ言いながら、書き間違えた便箋は全部破り捨てているため、ベンチの周りは書きぞんじてくしゃくしゃに丸まった手紙でいっぱいになります。
「あやめへ…
PS…はやい!はやい!まだや、PSはまだや!」
「あやめへ。
PS…あ、PSって書いてもうた、えっと、PSP買ったよ…
PS…3、買おうかな…」
2回目のみ、「はぁ…こんなん書いても、迷の惑やろうなぁ…」
とりあえず色々ボケたあと(笑)、真剣に書き出します。
「こんな俺で、ごめん。息子をよろしく。本当に、ありがとう」…といった感じの内容。
このセリフの途中から、下手側から灘儀さんがゆっくりと歩いてきます。そして、一心に手紙を書いている久馬さんを見つけると立ち止まり、じっと見守ります。
破った手紙を封筒に入れ、「よし」、と立ち上がった久馬さん。
…しかし、それを相手に届けようと…する力もなくなったのか、手紙をそっとポケットに入れ、ベンチに座り、途方に暮れたようにうつむいてしまいます。
そのまま舞台は暗くなり、上手側にサス。
暗くなってから下手側の久馬さんと灘儀さんはハケ、上手からギブソンさん出。
黒の学ラン姿で手に段ボールの箱を持ち、辺りを見回した後、ベンチのすぐ右隣に段ボールを置く。
そして、無言のまま立ち去る。
照明は青く、夜。
誰もいない夜の公園。
舞台下手側の背景に、大きな白い満月が照明で浮かび上がります。
下手からゴエちゃん、谷川さん出。
2人とも、ベンチの横で立ったまま。何やらそわそわしているゴエちゃん。
ゴエ「月が…綺麗だね」
谷川「う…、うん」
そっと、腕を谷川さんの背後に回し、谷川さんの肩を抱こうと試みている、明らかに挙動不審な動作のゴエちゃん。
結局、谷川さんの肩に触ることは出来ず、「ん?」といぶかしがる谷川さんを誤魔化すために、
ゴエ「うっ…、あーはー…。」
相当ぎこちないです。
ゴエ「あ…今夜の月は…丸いね」
谷川「…う、うん!そうだね」
なんとなく、気まずい間。
ゴエちゃんは、今度は谷川さんの腰に手を回そうと試みるものの、やっぱり触ることは出来ず…
ゴエ「あーは…。いーひ…。うーふ…。えーへ…。…ミーシャ…」
「ミーシャ」は2回目、この日のキーワードになります。
ゴエ「あー…月が、光ってるね」
谷川「あ、あれはね、“月が”光ってるんじゃなくて、太陽の光を反射して、光っているんだよ」
ゴエ「…あ…、そうなんだ」
そこでハッと気がついたゴエちゃん、
「せっかくだから、ベンチに座ろう」と谷川さんをエスコート。
そして、座る前にまたまたハッと気がつき、「ちょっと待って、」と、ポケットの中を盛大にまさぐりだします。
ゴエちゃんのポケットから、丸めた紙くずがいくつも、メガネ、そしてなぜか
谷川「コントローラー!?」
ファミコンのコントローラーまで出てくるゴエちゃんのポケット。
そして、昼間、久馬さんが書き間違えた手紙が、いくつもくしゃくしゃと丸まって投げられているベンチの周り。それらはまだ片付けられておらず、そこに加えてゴエちゃんのポケットから出てきた紙くずやらコントローラーまで散らばって、結構、散らかっています、ベンチの周り。
ゴエちゃんはようやくお目当てのもの、ハンカチを見つけ出し、谷川さんが座る部分のベンチの埃を綺麗に払います。
谷川さん、この行動にはにっこり笑って、「ありがとう…」と言ったものの…
いつまで待っても延々と同じ動作を繰り返しているゴエちゃんに、慌てて
谷川「作業に没頭しすぎよ!」
ゴエ「あっ!(我に返って)ああ、ああ、どうぞ!」
やっとベンチに座る2人。下手側に谷川さん、上手側にゴエちゃん。
そして再び、谷川さんの肩に手を回そうと、不審な動きを見せるゴエちゃん…勿論上手くいかず、
ゴエ「あー…あーは…。月が、綺麗だね」
谷川さんの手と、自分の手を重ねようとして当然のように上手くいかず、
ゴエ「あー…月が、丸いね」
会話も弾まないし、あー、もう駄目だぁ、みたいな表情をみせるゴエちゃん。
ゴエ「月が…光っている…ように見えるけど、あれは太陽の光を反射しているんだね」
ここで、ゴエちゃんの心の声が舞台上に流れます。
「まずい!これはまずいぞ!せっかく今日、プロポーズしようとここまで来たっていうのに…!今日のために手紙まで書いてきたっていうのに、これはまずいぞ!」みたいな感じの。
そして結論は、
「そうだ、手紙を渡してしまおう!手紙には、プロポーズの言葉と、指輪も一緒に入れてある!これを彼女に渡せばバッチリだ!」
という訳で、ゴエちゃんはベンチから降りてひざまずき、後ろ手にギブソンさんが置いていった段ボール箱の中に手を突っ込み、そこから手紙を出し、谷川さんに渡します。
ゴエ「それ、読んで。今読まれたら恥ずかしいからさ、俺、トイレ行ってくるから。その間に読んでおいて!」
そうして下手側に軽やかに去っていったゴエちゃんを見届け、谷川さんはとても嬉しそうに、手紙を読む。…のですが、手紙を読んだ途端、その表情は一変。
ゴエ「どうだった?」
とにこやかに下手から登場したゴエちゃんを迎えたのは、軽快なる谷川さんのビンタ。(音と動作のみ。実際にビンタした訳ではないです。)
ゴエ「えっ!?」
全く事態が読めていないゴエちゃんは、上手を向いたまま「どうして??」とけげんそう。
谷川さんは怒ってさっさと下手側にハケてしまい、そしてそんなゴエちゃんの背中に、くしゃくしゃに丸められた手紙がぶつけられる。
ゴエ「いやん!」
まさか自分が渡した手紙が見当違いのものだったとは知らないゴエちゃん。ベンチに座り、大きくため息。
と、そこへ上手側からギブソンさんが出。
ギブ「あのー…」
ゴエ「!?見てたのか、今の!?」
あの恥ずかしい様を見られていたのかと、照れもあるのかもの凄い剣幕で詰め寄るゴエちゃん。あまりの恐ろしさに、
ギブ「あ…あーはー、いーひー、うーふー」
ゴエ「え!?」
ギブ「えーへー、おーほー…」
2回目は、ギブソンさんの顔が変顔(笑)。
付け加えて、
ギブ「ミーシャ…。谷村有美…」
ゴエ「は?今お前なんて言った?」
自分の言った発言に照れるギブソンさんを問い詰めるゴエちゃん。
ギブ「うーふ…えーへ…」
ゴエ「その次はなんて言った?」
ギブ「…ミーシャ…」
ゴエ「うん、その次は?」
ギブ「…谷村有美…」
ゴエ「それ声の綺麗な人並べてるだけじゃないか!」
とにかく、さっきのを見たのか、見てないのか、と聞かれ、「見ていない」と答えるギブソンさん。
ゴエ「なんだ、よかった…。かっこ悪い…」
再びベンチに座って安堵するゴエちゃんの顔をそっとうかがい見て、
ギブ「おにいさん…、ほっぺた大丈夫?」
ゴエ「見てたんじゃないか!」
ギブ「いや、凄い剣幕やったから、もっと見ちゃいけないもんなのかと…」
ギブソンさんに、ゴエちゃんは事の顛末を語ってみせる。彼女が手紙を見た途端怒ってしまったのだと。
ギブ「手紙?」
その言葉に、ふとギブソンさんは、ベンチの横に置かれた段ボール箱に手を突っ込む。
ギブ「あ!ない!?手紙がない!」
ゴエ「え?」
段ボールの中にはギブソンさんの犬、「ポチ」が入っていて、そのポチを拾ってくれる人宛てにギブソンさんが書いた手紙。それが「ない」、と言う。
彼女に渡した手紙がそれだと気がついたゴエちゃん。
ゴエ「で、その手紙には、なんて書いたんだ!?」
ギブ「えっと、“一生守ってください”、って…」
ゴエ「まぎらわしいことを書くなよ!彼女はなあ、守ってくれるタイプの力強さを持った男がタイプなんだよ!こんな手紙を受け取ったらそりゃ怒るよ!責任とってくれるんだろうな!?」
ギブ「え…、責任?」
ゴエ「そうだよ!こんなことした責任をとってくれるんだろうな、って言ってるんだ!お前が彼女の代わりになってくれるんだろうな!?」
ギブ「え?」
ゴエ「あっ、いやこれは違う、意味が違うな…。とにかく!」
ひたすらギブソンさんを責めるゴエちゃん。遂にギブソンさん、段ボールを抱えたまま上手側に逃走。それを追いかけるゴエちゃん。
どうでもいいですが、劇中ギブソンさん、ゴエちゃんのことを「おにいさん」って呼んでいるんですね。
誰もいなくなる舞台。
下手側からひとりで久馬さんが出。
そして公園の池に立ちションをし始める。
久馬「…あれ、これ、後ろから見たらひょっとして俺、ギター弾いてるように見えるんちゃう?」
池の周りの岩に片足を乗せ、真後ろを向いて立ちションする様は、確かにギターを弾いていると言われれば見えるような…見えないような…(笑)。微妙です。
そこへやってきた公園の管理人、灘儀さん。
灘儀「あれ?…あれはひょっとして、ギターを弾いているのかな?」
そして灘儀さん、久馬さんの隣に立ち、まじまじと久馬さんの股間辺りを凝視(笑)。
2回目は、久馬さんの股の下に顔が来るように地べたに仰向けに寝転がる(笑)。
久馬「うわっ!?」
気がついた久馬さんは、慌てて上手側に逃走。
1回目、
灘儀「…去っていった。何か言ってから去っていくのかと思っていたら、特に何も言わずに走っていきおった」
2回目
久馬「あーはー…、ミーシャ、谷村有美、ゆうゆ」
灘儀「うしろゆびさされ組ですか?」
…「うしろゆびさされ組」ですか。
これ、ずっと「後ろ指差され組」などで検索かけていたので、さっぱり引っかかりませんでしたが、やっと「うしろゆびさされ組」表記で、ウィキペディアが引っかかりました。
岩井由紀子(ゆうゆ)さんのことなんですね。
灘儀さんが逃げていく久馬さんを見送り、下手側に佇んでいると、上手側から走ってきたギブソンさんが、段ボールを抱えたまま出。
ギブ「はぁ…、えらい怖い人や…」
灘儀さんのことには気がついていないようで、ギブソンさんはそっと、ベンチの横に段ボールを置く。
携帯電話が鳴り、(ギブソンさんからかけたのか、かかってきたのか…、どっちだったか失念してしまいました。)
会話するギブソンさん。
なんでお父さんのことを悪く言うのか、自分のお父さんはひとりだけだ、といった内容を怒ったように話している。
その様子を、じっと見ている灘儀さん。
電話を終え、ため息をついて、犬のポチとお別れをするギブソンさん。
…と、それを止めに入る灘儀さん。
灘儀「ちょっと待て、捨てたらあかんがな」
ギブ「うわあ、御堂筋パレードよりおもんないおっちゃんや…」
灘儀さんのことを「御堂筋パレードよりおもんないおっちゃん」呼ばわり。
灘儀「あんな、君…、こんな話知ってるか?」
そう言い、灘儀さんは、長いお話を話して聞かせる。
それは、飼い主に捨てられた犬のお話。
飼い主に捨てられた犬は、どうにかして自分の飼い主を探したかった。
来る日も来る日もそう強く願い続けたとき、その犬はどうなるのか。
そういう犬は、人間の姿になるのだ。
けれど、犬と人間とでは、今まで生きてきた視線が違う。
急に人間になったところで、犬は箸の持ち方も分からない。つまりは、人間として生きていくことは出来ないのだ。
ギブ「…でも、そんなん、作り話でしょう?」
灘儀さんの話はとても長いセリフだったのですが、それをじっと聞き入るギブソンさんの表情が、凄くよかったです。
ギブソンさんって、自分がセリフを言うとき以外でも、役に入りきってほんとうにいい表情をしています。
灘儀さんの言葉のひとつひとつに、真剣に聞き入ってうつむいたり、ハッと顔をあげたり。
…狙ってかどうかは分かりませんが(笑)、ギブソンさんのそういう演技が好きです。
灘儀さんが去ったあと、ギブソンさんは、「犬が飼い主のことを慕うその強い気持ちの余り、人間の姿になる」という、健気な犬の話を聞いても…、
ギブ「それでも…、やっぱり無理なんや、ごめん!」
ポチにそう言い残し、段ボール箱を抱えることなく公園を去った。
誰もいない公園。
下手側から、何やらボロボロの上着になった久馬さんが出。一枚、段ボールを引きずっている。
久馬「あー…しんどい。しんどいなぁ…」
1回目
久馬「ホームレスってのもしんどいもんや。大体この段ボールどこに持ってったらいいのかとかも分からん」
2回目
久馬「本とか書いたろうかな…ホームレス中高年」
どうやら「ホームレス」という訳で上着がボロボロらしいのですが、その割りにはズボンはピッカピカに綺麗です(笑)。
「はぁ…」と何度もため息をつきながら、公園のベンチで夜を明かすことに決めた様子の久馬さん。
ふと、ベンチの横の段ボール箱に目を留め、中からポチ(ぬいぐるみ。)を取り出す。
ここに来て、初めて「ポチ」が登場(笑)。ふわふわのぬいぐるみで、茶色いもこもこした犬でした。
久馬「うわー、お前、こんなとこに入って!え、お前、入ってた箱と一緒の大きさやん!」
久馬さん、ポチと段ボール箱とを比べてみせます。ほんとに一緒の大きさでした(笑)。
久馬「なんや、捨てられたんか。よっしゃ、お前も一緒に寝よう」
ポチを抱きかかえ、上手側に頭を向け、ベンチに横になる久馬さん。ベンチ・久馬さん・ポチ・段ボールの順で重なって寝る(笑)。
寝る前に、ふと久馬さんはポチの顔をよく見て、
久馬「あれ?…いや、まさかな」
笑って、寝てしまう久馬さん。
丁度ポチは段ボールに隠れて見えなくなる感じです。
落ち着いたところで…。
ギブ「やっぱり捨てられへん!!」
と、慌てて戻ってきたギブソンさん、自分が捨てた箱の傍のベンチで寝ている久馬さんを見つけ、盛大に驚きます。
何せさっき、「飼い主に捨てられた犬が人間の姿になる」話を聞かされていたのだから…。
ギブ「えええええッ!!?」
暗転。
明転すると、誰もいない公園。
相変わらず、ベンチの周りには紙くずやらコントローラーなどで散らかったまま。
ただ、ひとつ変わった点は、中央の白いベンチに、「ペンキぬりたて」という張り紙が増えたこと。
下手側から、鈴木さん出。
鈴木「なんで嘘なんかついたんや…」
落胆したように、すぐ傍にあったベンチの足を蹴る。…が、痛かったらしい(笑)。
うずくまって、
鈴木「あーは…ミーシャ…」
で、このとき鈴木さんも、誰か女性歌手の名前を、2人ぐらい挙げていたのですが、失念してしまいました…。
ゴエちゃんの「ミーシャ」から始まって、ギブソンさんの「吉村有美」→久馬さんの「ゆうゆ」→鈴木さんへと繋がった歌姫のバトンでした。お見事!
1回目のみ、うずくまった際に、思いっきり「ペンキ塗りたて」のベンチに手をついてしまって、これにも「あーは…」
ふと、うずくまったその視線の先にある、手紙に目を留める鈴木さん。
くしゃくしゃになってしまっているその手紙のしわをのばし、じっと、その手紙を読む。
鈴木「こんな俺で、ごめん。息子をよろしく。本当に、ありがとう」
鈴木さんが読んだのは、久馬さんが「あやめさん」に宛てて書いた手紙だった…。
鈴木「…サヤマ…?」
と、下手側から久馬さん登場。
1回目のみ、ボロボロの上着の前ボタンを留め、シャツと上着の間にポチをすぽっと入れてあやしながら登場(笑)。
2回目は、普通に胸の前でポチを抱きかかえて登場しました。
鈴木「あの、この手紙を書いた人、知りませんか?」
久馬「その、手紙…?」
怪訝そうな久馬さん。鈴木さんが持っている手紙を見て、自分が「あやめさん」宛てに書いた手紙だと分かります。
鈴木さんは、この手紙は自分の友達、サヤマが書いたものではないのか、と思いこんでいた。けれど…。
鈴木「いや…、でも、そんなこと…。こんな手紙、あいつに書けるはずがないんです。…あいつは、もう、死んだから…」
久馬「…なあ、なんでその手紙、友達が書いたものだって、思ったん?」
鈴木「え?…ああ、ここに…“息子をよろしく”って書いてあったから…」
サヤマには子どもが生まれる。
だから、あとのことを自分に託したのかと。
けれど、現実的に、サヤマがこの手紙を書けたはずがない。
久馬「…あのさ。届くはずがない人から、手紙が届くことも、もしかしたら、あるかもしれへんで」
この世界には、無駄なもの、余計なものなど何もない。
「偶然」起こったことも、全ては「必然」なのだ。
だから、鈴木さんがこの公園で、この手紙を読んだこと。
それも、「必然」だったのかもしれない。
久馬さんの長セリフでした。
鈴木「…もしかしたら、僕とあなたがこうして会ったことも、“必然”だったのかもしれませんね」
久馬さんの言葉で元気付けられた鈴木さん。
下手側に久馬さん、上手側に鈴木さん。そして灘儀さんが登場。
その衣装が、なぜかキラキラゴージャス。
さえない灰色のつなぎ姿だったのに、肩のところには金色のふさふさが付け足されているし、ボタンもぴかぴか。
思いっきりびっくりする久馬さんと鈴木さん。
鈴木「え…なんですか、これ?」
灘儀「いやぁ、わたし、定年を迎えましてね。そのお祝いに、新調して貰ったんですよ」
2回目、
「どうせ新調して貰うなら、ズボンも綺麗にしてもらえばよかったのに…」
きらきら豪華な飾りがついたのは上着だけで、ズボンは普通だった(笑)。
また、久馬さんが2回とも、
「うわぁこれ…ジュリーみたいですね」
とフリをして、灘儀さんにジュリーの物真似をさせる。
灘儀さん、激しく動いてジュリーの物真似をすると、頭につけたベビーパウダーが舞う(笑)。
鈴木「うわっ、なんか頭から煙出てますよ!」
灘儀「わたしジュリーの物真似すると頭から煙出るんです」
ひとしきり、新調した管理人さんの服に2人が驚いていると、上手側からギブソンさんが登場。
ギブ「あっ、ポチ!!」
ギブソンさん、久馬さんを見つけるなり、その頭を犬のようになで、抱きしめます。
鈴木「何!?何!?」
ギブ「何って、この人、ポチなんです。僕の犬が人間の姿になっているんです」
鈴木「この子、頭大丈夫?」
灘儀「この人が、お前の犬だって言うのか?」
ギブ「ほら、おっちゃんがしてくれた話!昨日の夜は驚いて、そのまま走って帰って来てもうたんやけど、やっぱり間違いなかった!」
久馬さんはギブソンさんの手から逃れ、上手側にポチと一緒にいます。
下手側で、
灘儀「じゃあ、君、あの人に聞いてみればいい。あなたは、犬ですか?って」
鈴木「このオッサンも頭大丈夫?」
一連のやり取りを聞いていたのかいないのか、久馬さんはギブソンさんに向かって言った。
久馬「ひょっとして…、シンか?」
暗転。
明転。
ベンチの周りに落ちていた紙くずなどは、綺麗になくなっている。
…なくなっているのは、紙くずだけではない。
ベンチそのものも、綺麗になくなっていた。
ぽっかりと空間のあいた公園。
ゴエちゃんが焦ったようにやってきて、あの夜、自分が書いたプロポーズの手紙はどこにあるのかと探し回る。
結局見つからず、ハケ。
下手側から、久馬さんとギブソンさんが楽しそうに出。
久馬さんは、ボロボロだった上着が綺麗になっている。
ギブソンさんは、ポチのぬいぐるみを持っています。
1回目
久馬「御堂筋パレードの逆走めっちゃおもろかったな!」
ギブ「うん!警察にいっぱい止められたけど!」
2回目
久馬「堺筋パレードめっちゃおもろいわ!」
とりあえず息子と遊んで興奮して、疲れている様子の久馬さんに、ギブソンさん、「これからいっぱい働いてもらうんやから、しっかりして、お父さん!」
久馬さん、ギブソンさんのその言葉に、感極まって…ギブソンさんにタックル。
ギブ「なんで!?おかしいでしょ感極まってタックルかますって!抱きつくとこでしょ普通!」
上手側から、鈴木さん出。
久馬「ああ…」
と、挨拶をするも、鈴木さんは一瞬、怪訝そうな顔。それから、ぱっと気がついて、
鈴木「ああ!見違えてるんで分かりませんでしたよ…」
久馬さんの上着が綺麗になったことを言っているようです。(でもホームレス状態でもズボンはめっちゃ綺麗だったんだけどね。笑)
ギブソンさんは、「じゃあ僕、ポチと一緒に遊んでくる!」と言って、ポチを思いっきり舞台下手側の袖に放り投げる(笑)。
「犬!犬!」と驚く鈴木さん、そしてポチを追って下手側にハケたあとのギブソンさんの様子を解説する久馬さん。
久馬さんの実況によると、
1回目は犬とギブソンさんがじゃれ合って、最終的に仲良しになる感じ。
2回目は、犬とギブソンさんが乱闘して、なんかプロレス的な(笑)技の決め合いをしたあと、ギブソンさんが犬に負ける感じでした(笑)。
久馬さんと鈴木さん、舞台上に2人になり、
鈴木「そう言えば、最近公園の管理人さん、見かけなくなりましたね」
久馬「そうですね…」
人の話に何かと割って入り、いつも気がつくとそこに居た。公園と一緒に、僕らを見守っているような人だった。
鈴木「なんだか、ベンチみたいな人でしたね」(←聞いていて、ちょっと強引じゃない?と思いましたが。笑)
いつも公園に居て、公園で起こることを見守っている。
そう、ベンチみたいな人。
鈴木「そう言えば、このベンチに“ペンキぬりたて”の張り紙がしてあったとき、あの管理人さん、服を新調していましたよね」
そうして、公園にベンチがなくなった途端、ぱったり姿を見かけなくなった管理人さん…。
そう、あの管理人さんの正体は、ベンチだったのだ。
ここで全員をそっと見守っていた、白いベンチが、人間の姿をして現れていたのだ。
久馬さんは下手側、鈴木さんは上手側で、それぞれ遠くのほうを見つめ、満足げな表情。
流れているBGMも、なんだかハッピーエンド調の音楽で盛り上がって…
…。
……。
久馬・鈴木「!?」(2人そろって、どんどんいぶかしげな顔になっていく。)
鈴木「ハァ?!そんなことあるわけないやん!なんやベンチが人って!」
久馬「え、人がベンチで?ベンチが人で?(「おれがアイツでアイツがおれで」みたいな口調で)」
そんなことがある訳がない、とパニックになる2人のもとに、話の張本人、灘儀さんが登場。更にパニックになる2人。
久馬「あっ、見たらアカン!見たらアカン!」
鈴木「今からベンチに変身するから!?変身する瞬間は見ちゃいけない!!」
灘儀「いやぁ…なんですかちょっとあなたたち…。別にわたし変身しませんよ、トランスフォーマーじゃないんですから、わたし今からベンチに変身するとかありませんから!」
と言いながら、「人からベンチに変身する」動きをちょっとやってみる灘儀さん(笑)。
灘儀「ガコンガコンガコン」
と、体を動かす。
…そうやって激しく動くと、灘儀さんの頭につけたベビーパウダーが舞う(笑)。
とにかく、公園の管理人さんは、人だ。ベンチではない。
久馬さんが、パニックになった際、「ベンチマン!噂には聞いていたけど、まさかベンチマン…!?」と、1回目も2回目も口走るのですが、
2回目、
灘儀「ベンチマンってなんなんですか」
の問いに、久馬さん、即答で
「知りません」
と答えました。(笑)
適当に言い過ぎです…。
鈴木「でも、この前定年って言ってませんでしたっけ?」
灘儀「いや、それが…」
灘儀さん、どうも気になることがあるそうです。
そうして灘儀さんがポケットから取り出したのは…、封筒。中には、プロポーズの手紙と、指輪。
灘儀「誰かが、わたしにプロポーズをしてくれたんですがね…。これ、差出人の名前も書いていなくて…」
灘儀さん、久馬さん、鈴木さんが、3人で下手側で相談しているところに、ゴエちゃんがプロポーズの手紙を探してウロウロ。上手側を探していたところ、3人の会話が聞こえてきてしまう。
灘儀「いやぁ、わたしこれ、返事をしたいのですが、一体どこの誰が書いたんでしょうねぇ。まったく手紙出したがりーの名前書き忘れてうっかりーのですね」
鈴木「え、でもこれ、名前が書いてないってことは、管理人さん宛てかどうかも分からないじゃないですか?」
灘儀「いえ、これはわたし宛てですよ。わたし宛てで間違いありません」
鈴木「なんでですか?」
灘儀「ここにあったからです」
灘儀さん、ベンチの場所を指し示します。
鈴木「え?ここにあったから、管理人さんのもの?」
灘儀「そうです。わたしベンチに名前書いてあったでしょ?“ナガイ”って」
鈴木「…え!?“ナガイ”ってあれ、管理人さんの名前やったんですか!?」
灘儀「はい、そうです。わたし“永井豪”です」
久馬「え!?管理人さん、永井豪さん…?」
灘儀「はい、そうですね、オーストラリアの“豪”で…」
あのベンチは管理人さん、永井さんのもの。だからあのベンチにあったものは、全部永井さんのもの。
鈴木「いやでも、中に指輪も入っていたんでしょ?指輪のサイズが違えば…」
ところが、灘儀さんの指に、指輪はピッタリ。
ゴエちゃん、後ろを向いたまま、非常に言い出しづらそうに肩を落とす。
灘儀「寝ている間とかに指の寸法を測られたのでしょうか。よっぽどわたしのことが好きなんですね…」
このプロポーズの手紙を書いたのは一体誰なのか。
…遂に、ゴエちゃんが後ろを向いたまま、ゆっくりと手を挙げます。
1回目
ピシッとひじを曲げずに挙手。
2回目
ちょっと壁にもたれかかるような感じで、ゆったり挙手。
それを見た久馬さんが、「タクシーでも呼んでるんちゃう?向こう(下手側)に三菱のタクシーいっぱいとまってますよ」
そこへギブソンさんが、ポチを抱きしめながら下手側から出。
2回目のみ、
ギブ「向こうにいっぱい三菱のタクシー止まってた」
ギブソンさん、ゴエちゃんを見て、「あっ!」と久馬さんの後ろに隠れる。
ゴエちゃんは、灘儀さんのもとへと歩み寄り、
ゴエ「これも何かの縁なのでしょう。僕と、結婚を前提に付き合ってください」
と、右手を差し出す。
鈴木「はぁ?」
ゴエ「僕…ゲイなんです」
1回目は、カミングアウト後も男らしくそのまま。
2回目は、このカミングアウト後、しなを作ったり内股にしたりとそれっぽくなる。
このカミングアウトのとき、久馬さんが慌ててギブソンさんの耳をふさごうとします(笑)。
ギブソンさんは、何?何?と、分かっていない様子。
ゴエ「いやぁ、あの結婚も、親を安心させる為、形だけ結婚する、という体だったんです」
鈴木「いや、そんな、アンタはよくても、管理人さんが困るでしょう」
と言うも、管理人さんの返答は…
灘儀「はい、いいですよ」
がっつりと手を握り合う2人。
鈴木「えええ!?」
灘儀「いや、実はですね、わたしも、ゲイなんです」
ゆっくりとBGMが大きくなるなか、ざわめく公園。
久馬「え?何ここゲイ公園?ゲイ公園?」
2回目のとき、灘儀さんが、指を2本出して「2回…」と言ったのですが、大きくなるBGMにかき消されて聞こえませんでした。
「RE(アールイー)」完。
***
劇が終わったあと、一列に並んで客席に向かって礼をするのですが、ポチのぬいぐるみを持ったギブソンさん。
ポチの顔をきょろきょろ、客席を見渡すように動かして、それから幕がしまるころ、ポチの手を振っていました。
ポチ、かわいいです(笑)。
漫天のお2人は、それぞれ1回こっきりしか出番がなく、1回出たら、それ以降お芝居には登場しない、という、それじゃなんでこの2人を起用したんだ?という役回りでした(笑)。
そしてこのお話、まさかの「ゲイ落ち」でした。
オチはかなりくだらないのですが、そのくだらなさ、わたしは別に嫌いじゃなかったです。
見終わったあと、「くだらねー…!」と笑っちゃうような、そんな心地よさでした。
2回目に見たときに、冒頭の部分で、久馬さんと息子とのキャッチボールのシーンで、
久馬「あなたも、お子さんが出来たら分かるでしょう」
灘儀「いえ、わたしは、無理ですよ」
というやり取りが、つまりはそういう意味だった、と分かったときにはニヤッとしてしまいました(笑)。
久馬さん→?
ギブソンさん→シン
灘儀さん→??
鈴木さん→?
ゴエさん→?
漫天・横山 隆文さん→サヤマ
漫天・谷川 友梨さん→?
犬→ポチ
セット
稚拙で非常に恥ずかしいのですが、図説↓
舞台を上から見た図です。
まず舞台の中央にあるのは、真っ白なペンキの塗られたベンチ。背もたれの真ん中に、黒のペンキで、カタカナで「ナガイ」と書かれています。
ベンチの後ろに、まず上手側には石塀。石塀の後ろには緑色の植え込みが見えています。
下手側は、木の杭の内側に岩があり、池になっています。
ベンチの後ろの石塀と池との間には隙間というか道らしきものがあり、上手側に繋がっているようです。
ベンチの手前にあるのは、上手側に緑色の、野球のフェンスみたいなものがあるだけ。
上手にハケるときは、そのフェンスの後ろを抜けていきます。
ふう…。セットを説明するのに初めて絵を使ってみましたが、いかがなものでしょう…分かりやすいでしょうか。余計分かりづらいでしょうか(笑)。ちなみにわたしはもの凄く恥ずかしいです(笑)。
暗転中、始まる前に、公園で遊んでいる子ども達の声が流れます。
その声と共に幕が上がり、舞台には下手側に、ホウキで公園を掃いている灘儀さんが一人。いかにも「公園の用務員」です、といった感じの薄灰色のツナギ姿。
背景の照明は明るく、快晴の青。
…と、上手側から、野球のボールがてんてんと転がってくる。そしてそれを追いかけ、久馬さん登場。
2回目のみ、勢いよく飛び出してきた久馬さん、舞台床でごろっと一回転してボールをキャッチ。
灘儀「ああ、キャッチボールですか…」
久馬「ええ、息子とね」
休日、息子と遊んでいるらしい。
久馬「息子はこの公園が大好きでねぇ。あ、でも、公園は好きだけど、なんか掃除してる変なおっちゃんは嫌い言うてましたわ」
灘儀さんのことを、「御堂筋パレードよりおもんないおっちゃん」呼ばわり。
ちなみに、どうやらこの10月14日の日は「御堂筋パレード」なる、それなりに大きな催しがあったらしく、ことあるごとに引き合いに出されました。結局「御堂筋パレード」とはなんだったのでしょうか(笑)。
2回目のみ、久馬さんが灘儀さんの持っているホウキを指し、
久馬「そのホウキが七三に見えるのがおもんないって言ってましたわ」
灘儀「ホウキが七三に…わたしこの七三具合がとてもおもしろいと思っていたのですが」
もう図説したくないんですが…(笑)
「ホウキが七三」、要するにこういうこと↓です
灘儀さんが持っていたホウキの、履く部分が…。
息子とのキャッチボールがとても楽しいらしく、ウキウキ気分の久馬さん。
久馬「あなたも、お子さんが出来たら分かるでしょう」
灘儀「いえ、わたしは、無理ですよ」
ボールを持って、息子のもとへと帰る久馬さん。
それを見送り…暗転。
*オープニング*
舞台上に、↓のように並ぶ一同。
鈴木 灘儀 久馬 ギブ
ゴエ 横山 谷川
↓こちら側が客席。
全員、客席に背中を向けて直立不動。
照明が、緑→オレンジ→赤→青→白、と、一色ずつ増えて重なっていく。
最後に、背景に「RE」の文字が浮かび上がり、暗転。
明転。
横山さんが車椅子に乗っていて、その車椅子を押している鈴木さん。
横山さんは入院着。鈴木さんは、2回目は確か野爆Tシャツを着ていたような気がします。
車椅子の車輪を浮かしたり、元気いっぱいの鈴木さん。1回目のみ、「ほーれ!」と勢いをつけて車椅子を押して、手を離す。
車椅子はセットの野球のフェンスに激突。
セットの位置がめっちゃ動いてズレた為、さすがに「えっ!?これこんなに動くんや!」とビックリする鈴木さん。
心なしか、このせいで上手側の出入りが狭そうに見えたのは気のせいでしょうか(笑)。
さすがに懲りたのか、2回目はそこまで無茶はしませんでした。
明るい鈴木さんとは裏腹に、横山さんはかなり暗い表情。
そんな横山さんを元気付けようと、鈴木さんは公園のベンチに座り、あれこれ話しかける。
鈴木「昔さ、サチと3人で山登りに行ってさ、お前石につまづいてコケたよな」
横山「…(無言、ずっとうなだれている。)」
鈴木「…。そっか、そっか…。あっ、あれ覚えてる?サチと3人で温泉行って、お前石鹸踏んでコケたんだよな。お前よく考えたらいっぱいコケてるな!」
横山「…(無言のまま。)」
どうやっても元気を出さない横山さんに、業を煮やした鈴木さん。
鈴木「そんなお父さん、俺は嫌やぞ!」
横山「えっ…?なんで…」
横山さんには、もうすぐ子どもが生まれるらしい。それを聞いた鈴木さんは、親友として、横山さんを元気付ける。
「よし。
歌おう」
歌!?と笑いが起きるんですが(笑)、鈴木さんが歌いだしたのは「線路は続くよどこまでも」。
暗い顔だった横山さんは、途中から鈴木さんと一緒に歌いだす。
そして、元気が出たのを見てホッとした鈴木さんは、よし!と歌うのをやめようとするが、横山さんは構わずそのまま歌い、途中から歌詞が分からなくなった鈴木さんは適当にハミングして合わせる。
鈴木「おお…フルコーラス歌ったな…」
横山「あんな…俺…」
ん?と鈴木さんが聞くと…
横山「もう、治ってんねん」
と、車椅子からぴょんと立ち上がり、まさに健康そのもの、という体の横山さん。
「ええええ!?」と鈴木さんが驚いていると、「ええええー」と、下手側から声が。
灘儀さんが登場し、「いやぁこれは恥ずかしいなぁええ?めっちゃ恥ずかしいやんなぁ、彼、めっちゃ励ましとったのに、もう治ってたんやって!もう治ってたのにこんな励ましてめっちゃ恥ずかしいやん!こんな恥ずかしいことってある?」
1回目は、鈴木さんの「誰!?」みたいな驚きにも、「こんな恥ずかしいとこを見てしまってわたしもうここにはいられません」みたいなことを言ってハケる灘儀さん。
2回目は、横山さんが、健康体なのに鈴木さんが励ましてくることについて、「迷惑です」と言うところを、
横山「迷の惑です」
これには灘儀さんも一瞬びっくりしたようで(笑)、
灘儀「迷の惑。迷の惑か。迷の惑なんやな、びっくりしたで、噛んだんかと思った」
2回目はこの、横山さんのアドリブだと思われる「迷の惑」発言が、どうやらプランのツボに入ったらしく(笑)、この後結構、いろいろなところで「迷の惑」は出てきます。
ちなみに、一番最初、公園で久馬さんが息子とキャッチボールをする場面では、灘儀さんの髪の色は黒です。
が、ここのシーンからはずっと、灘儀さんは頭にベビーパウダーらしきものをつけて、白髪のおじいさんになっています。
すっかりピンピンな状態の横山さんは、車椅子を押して鈴木さんをそこに座らせ、「線路は続くよどこまでも」と歌いながら、下手側にハケ。
照明は、夕焼けのオレンジ色。
誰もいない公園に、便箋を片手にやってくる久馬さん。
便箋は長方形の、横書きのもので、表紙に何か書いてあったのですが、どうしても読み取ることが出来ませんでした。
上下黒のスーツに、白いシャツ。
ふう、とベンチに座ると、おもむろに便箋の表紙をめくり、手紙を書き始める。
2回目のみ、上手から登場し、ベンチまで歩いていた久馬さん、
なんとガチで、セットのベンチに足をぶつけました(笑)。
思いっきり「ゴン!」と音がして、久馬さんはそのまま素知らぬフリでお芝居を続行しようと…したのですが、会場がもうくすくす笑ってしまっていて(笑)、たまらず久馬さんも笑ってしまいます(笑)。
「アオい空」でセットの階段に足をぶつけたり、梅田の駅で階段から落ちたり、
久馬さん、結構注意力散漫なのかしら…。(気をつけてくださいね…)
手紙に書く内容は、
「あやめへ…」
2回目は、「あやめへ。足を打っちゃいました。…なんのことや!」
なかなか上手く書けないご様子。
「あやめへ…
あやめへ…
あやめへ…
あやめへ…(便箋の上から下まで全部「あやめへ」で埋めたようです。)
うわあ同じ平仮名を繰り返し書いていると、これが本当にこういう字だったのか分からなくなるー!
書く相手がほんまに“あやめ”だったのかどうかも分からんくなってきた。
め?「め」ってこういう字やったっけ?もっとこう…こんなくるっと…」
失敗。書き間違えた便箋をビリッと破り、くしゃっと丸めてその辺にぽいっと捨ててしまう。
が、なんとここも、2回目の出来事。
本来ならビリッと綺麗に破くはずの便箋が、破るのに失敗した久馬さん。
…踏んだり蹴ったりですね…。
書く文章をぶつぶつ言いながら、書き間違えた便箋は全部破り捨てているため、ベンチの周りは書きぞんじてくしゃくしゃに丸まった手紙でいっぱいになります。
「あやめへ…
PS…はやい!はやい!まだや、PSはまだや!」
「あやめへ。
PS…あ、PSって書いてもうた、えっと、PSP買ったよ…
PS…3、買おうかな…」
2回目のみ、「はぁ…こんなん書いても、迷の惑やろうなぁ…」
とりあえず色々ボケたあと(笑)、真剣に書き出します。
「こんな俺で、ごめん。息子をよろしく。本当に、ありがとう」…といった感じの内容。
このセリフの途中から、下手側から灘儀さんがゆっくりと歩いてきます。そして、一心に手紙を書いている久馬さんを見つけると立ち止まり、じっと見守ります。
破った手紙を封筒に入れ、「よし」、と立ち上がった久馬さん。
…しかし、それを相手に届けようと…する力もなくなったのか、手紙をそっとポケットに入れ、ベンチに座り、途方に暮れたようにうつむいてしまいます。
そのまま舞台は暗くなり、上手側にサス。
暗くなってから下手側の久馬さんと灘儀さんはハケ、上手からギブソンさん出。
黒の学ラン姿で手に段ボールの箱を持ち、辺りを見回した後、ベンチのすぐ右隣に段ボールを置く。
そして、無言のまま立ち去る。
照明は青く、夜。
誰もいない夜の公園。
舞台下手側の背景に、大きな白い満月が照明で浮かび上がります。
下手からゴエちゃん、谷川さん出。
2人とも、ベンチの横で立ったまま。何やらそわそわしているゴエちゃん。
ゴエ「月が…綺麗だね」
谷川「う…、うん」
そっと、腕を谷川さんの背後に回し、谷川さんの肩を抱こうと試みている、明らかに挙動不審な動作のゴエちゃん。
結局、谷川さんの肩に触ることは出来ず、「ん?」といぶかしがる谷川さんを誤魔化すために、
ゴエ「うっ…、あーはー…。」
相当ぎこちないです。
ゴエ「あ…今夜の月は…丸いね」
谷川「…う、うん!そうだね」
なんとなく、気まずい間。
ゴエちゃんは、今度は谷川さんの腰に手を回そうと試みるものの、やっぱり触ることは出来ず…
ゴエ「あーは…。いーひ…。うーふ…。えーへ…。…ミーシャ…」
「ミーシャ」は2回目、この日のキーワードになります。
ゴエ「あー…月が、光ってるね」
谷川「あ、あれはね、“月が”光ってるんじゃなくて、太陽の光を反射して、光っているんだよ」
ゴエ「…あ…、そうなんだ」
そこでハッと気がついたゴエちゃん、
「せっかくだから、ベンチに座ろう」と谷川さんをエスコート。
そして、座る前にまたまたハッと気がつき、「ちょっと待って、」と、ポケットの中を盛大にまさぐりだします。
ゴエちゃんのポケットから、丸めた紙くずがいくつも、メガネ、そしてなぜか
谷川「コントローラー!?」
ファミコンのコントローラーまで出てくるゴエちゃんのポケット。
そして、昼間、久馬さんが書き間違えた手紙が、いくつもくしゃくしゃと丸まって投げられているベンチの周り。それらはまだ片付けられておらず、そこに加えてゴエちゃんのポケットから出てきた紙くずやらコントローラーまで散らばって、結構、散らかっています、ベンチの周り。
ゴエちゃんはようやくお目当てのもの、ハンカチを見つけ出し、谷川さんが座る部分のベンチの埃を綺麗に払います。
谷川さん、この行動にはにっこり笑って、「ありがとう…」と言ったものの…
いつまで待っても延々と同じ動作を繰り返しているゴエちゃんに、慌てて
谷川「作業に没頭しすぎよ!」
ゴエ「あっ!(我に返って)ああ、ああ、どうぞ!」
やっとベンチに座る2人。下手側に谷川さん、上手側にゴエちゃん。
そして再び、谷川さんの肩に手を回そうと、不審な動きを見せるゴエちゃん…勿論上手くいかず、
ゴエ「あー…あーは…。月が、綺麗だね」
谷川さんの手と、自分の手を重ねようとして当然のように上手くいかず、
ゴエ「あー…月が、丸いね」
会話も弾まないし、あー、もう駄目だぁ、みたいな表情をみせるゴエちゃん。
ゴエ「月が…光っている…ように見えるけど、あれは太陽の光を反射しているんだね」
ここで、ゴエちゃんの心の声が舞台上に流れます。
「まずい!これはまずいぞ!せっかく今日、プロポーズしようとここまで来たっていうのに…!今日のために手紙まで書いてきたっていうのに、これはまずいぞ!」みたいな感じの。
そして結論は、
「そうだ、手紙を渡してしまおう!手紙には、プロポーズの言葉と、指輪も一緒に入れてある!これを彼女に渡せばバッチリだ!」
という訳で、ゴエちゃんはベンチから降りてひざまずき、後ろ手にギブソンさんが置いていった段ボール箱の中に手を突っ込み、そこから手紙を出し、谷川さんに渡します。
ゴエ「それ、読んで。今読まれたら恥ずかしいからさ、俺、トイレ行ってくるから。その間に読んでおいて!」
そうして下手側に軽やかに去っていったゴエちゃんを見届け、谷川さんはとても嬉しそうに、手紙を読む。…のですが、手紙を読んだ途端、その表情は一変。
ゴエ「どうだった?」
とにこやかに下手から登場したゴエちゃんを迎えたのは、軽快なる谷川さんのビンタ。(音と動作のみ。実際にビンタした訳ではないです。)
ゴエ「えっ!?」
全く事態が読めていないゴエちゃんは、上手を向いたまま「どうして??」とけげんそう。
谷川さんは怒ってさっさと下手側にハケてしまい、そしてそんなゴエちゃんの背中に、くしゃくしゃに丸められた手紙がぶつけられる。
ゴエ「いやん!」
まさか自分が渡した手紙が見当違いのものだったとは知らないゴエちゃん。ベンチに座り、大きくため息。
と、そこへ上手側からギブソンさんが出。
ギブ「あのー…」
ゴエ「!?見てたのか、今の!?」
あの恥ずかしい様を見られていたのかと、照れもあるのかもの凄い剣幕で詰め寄るゴエちゃん。あまりの恐ろしさに、
ギブ「あ…あーはー、いーひー、うーふー」
ゴエ「え!?」
ギブ「えーへー、おーほー…」
2回目は、ギブソンさんの顔が変顔(笑)。
付け加えて、
ギブ「ミーシャ…。谷村有美…」
ゴエ「は?今お前なんて言った?」
自分の言った発言に照れるギブソンさんを問い詰めるゴエちゃん。
ギブ「うーふ…えーへ…」
ゴエ「その次はなんて言った?」
ギブ「…ミーシャ…」
ゴエ「うん、その次は?」
ギブ「…谷村有美…」
ゴエ「それ声の綺麗な人並べてるだけじゃないか!」
とにかく、さっきのを見たのか、見てないのか、と聞かれ、「見ていない」と答えるギブソンさん。
ゴエ「なんだ、よかった…。かっこ悪い…」
再びベンチに座って安堵するゴエちゃんの顔をそっとうかがい見て、
ギブ「おにいさん…、ほっぺた大丈夫?」
ゴエ「見てたんじゃないか!」
ギブ「いや、凄い剣幕やったから、もっと見ちゃいけないもんなのかと…」
ギブソンさんに、ゴエちゃんは事の顛末を語ってみせる。彼女が手紙を見た途端怒ってしまったのだと。
ギブ「手紙?」
その言葉に、ふとギブソンさんは、ベンチの横に置かれた段ボール箱に手を突っ込む。
ギブ「あ!ない!?手紙がない!」
ゴエ「え?」
段ボールの中にはギブソンさんの犬、「ポチ」が入っていて、そのポチを拾ってくれる人宛てにギブソンさんが書いた手紙。それが「ない」、と言う。
彼女に渡した手紙がそれだと気がついたゴエちゃん。
ゴエ「で、その手紙には、なんて書いたんだ!?」
ギブ「えっと、“一生守ってください”、って…」
ゴエ「まぎらわしいことを書くなよ!彼女はなあ、守ってくれるタイプの力強さを持った男がタイプなんだよ!こんな手紙を受け取ったらそりゃ怒るよ!責任とってくれるんだろうな!?」
ギブ「え…、責任?」
ゴエ「そうだよ!こんなことした責任をとってくれるんだろうな、って言ってるんだ!お前が彼女の代わりになってくれるんだろうな!?」
ギブ「え?」
ゴエ「あっ、いやこれは違う、意味が違うな…。とにかく!」
ひたすらギブソンさんを責めるゴエちゃん。遂にギブソンさん、段ボールを抱えたまま上手側に逃走。それを追いかけるゴエちゃん。
どうでもいいですが、劇中ギブソンさん、ゴエちゃんのことを「おにいさん」って呼んでいるんですね。
誰もいなくなる舞台。
下手側からひとりで久馬さんが出。
そして公園の池に立ちションをし始める。
久馬「…あれ、これ、後ろから見たらひょっとして俺、ギター弾いてるように見えるんちゃう?」
池の周りの岩に片足を乗せ、真後ろを向いて立ちションする様は、確かにギターを弾いていると言われれば見えるような…見えないような…(笑)。微妙です。
そこへやってきた公園の管理人、灘儀さん。
灘儀「あれ?…あれはひょっとして、ギターを弾いているのかな?」
そして灘儀さん、久馬さんの隣に立ち、まじまじと久馬さんの股間辺りを凝視(笑)。
2回目は、久馬さんの股の下に顔が来るように地べたに仰向けに寝転がる(笑)。
久馬「うわっ!?」
気がついた久馬さんは、慌てて上手側に逃走。
1回目、
灘儀「…去っていった。何か言ってから去っていくのかと思っていたら、特に何も言わずに走っていきおった」
2回目
久馬「あーはー…、ミーシャ、谷村有美、ゆうゆ」
灘儀「うしろゆびさされ組ですか?」
…「うしろゆびさされ組」ですか。
これ、ずっと「後ろ指差され組」などで検索かけていたので、さっぱり引っかかりませんでしたが、やっと「うしろゆびさされ組」表記で、ウィキペディアが引っかかりました。
岩井由紀子(ゆうゆ)さんのことなんですね。
灘儀さんが逃げていく久馬さんを見送り、下手側に佇んでいると、上手側から走ってきたギブソンさんが、段ボールを抱えたまま出。
ギブ「はぁ…、えらい怖い人や…」
灘儀さんのことには気がついていないようで、ギブソンさんはそっと、ベンチの横に段ボールを置く。
携帯電話が鳴り、(ギブソンさんからかけたのか、かかってきたのか…、どっちだったか失念してしまいました。)
会話するギブソンさん。
なんでお父さんのことを悪く言うのか、自分のお父さんはひとりだけだ、といった内容を怒ったように話している。
その様子を、じっと見ている灘儀さん。
電話を終え、ため息をついて、犬のポチとお別れをするギブソンさん。
…と、それを止めに入る灘儀さん。
灘儀「ちょっと待て、捨てたらあかんがな」
ギブ「うわあ、御堂筋パレードよりおもんないおっちゃんや…」
灘儀さんのことを「御堂筋パレードよりおもんないおっちゃん」呼ばわり。
灘儀「あんな、君…、こんな話知ってるか?」
そう言い、灘儀さんは、長いお話を話して聞かせる。
それは、飼い主に捨てられた犬のお話。
飼い主に捨てられた犬は、どうにかして自分の飼い主を探したかった。
来る日も来る日もそう強く願い続けたとき、その犬はどうなるのか。
そういう犬は、人間の姿になるのだ。
けれど、犬と人間とでは、今まで生きてきた視線が違う。
急に人間になったところで、犬は箸の持ち方も分からない。つまりは、人間として生きていくことは出来ないのだ。
ギブ「…でも、そんなん、作り話でしょう?」
灘儀さんの話はとても長いセリフだったのですが、それをじっと聞き入るギブソンさんの表情が、凄くよかったです。
ギブソンさんって、自分がセリフを言うとき以外でも、役に入りきってほんとうにいい表情をしています。
灘儀さんの言葉のひとつひとつに、真剣に聞き入ってうつむいたり、ハッと顔をあげたり。
…狙ってかどうかは分かりませんが(笑)、ギブソンさんのそういう演技が好きです。
灘儀さんが去ったあと、ギブソンさんは、「犬が飼い主のことを慕うその強い気持ちの余り、人間の姿になる」という、健気な犬の話を聞いても…、
ギブ「それでも…、やっぱり無理なんや、ごめん!」
ポチにそう言い残し、段ボール箱を抱えることなく公園を去った。
誰もいない公園。
下手側から、何やらボロボロの上着になった久馬さんが出。一枚、段ボールを引きずっている。
久馬「あー…しんどい。しんどいなぁ…」
1回目
久馬「ホームレスってのもしんどいもんや。大体この段ボールどこに持ってったらいいのかとかも分からん」
2回目
久馬「本とか書いたろうかな…ホームレス中高年」
どうやら「ホームレス」という訳で上着がボロボロらしいのですが、その割りにはズボンはピッカピカに綺麗です(笑)。
「はぁ…」と何度もため息をつきながら、公園のベンチで夜を明かすことに決めた様子の久馬さん。
ふと、ベンチの横の段ボール箱に目を留め、中からポチ(ぬいぐるみ。)を取り出す。
ここに来て、初めて「ポチ」が登場(笑)。ふわふわのぬいぐるみで、茶色いもこもこした犬でした。
久馬「うわー、お前、こんなとこに入って!え、お前、入ってた箱と一緒の大きさやん!」
久馬さん、ポチと段ボール箱とを比べてみせます。ほんとに一緒の大きさでした(笑)。
久馬「なんや、捨てられたんか。よっしゃ、お前も一緒に寝よう」
ポチを抱きかかえ、上手側に頭を向け、ベンチに横になる久馬さん。ベンチ・久馬さん・ポチ・段ボールの順で重なって寝る(笑)。
寝る前に、ふと久馬さんはポチの顔をよく見て、
久馬「あれ?…いや、まさかな」
笑って、寝てしまう久馬さん。
丁度ポチは段ボールに隠れて見えなくなる感じです。
落ち着いたところで…。
ギブ「やっぱり捨てられへん!!」
と、慌てて戻ってきたギブソンさん、自分が捨てた箱の傍のベンチで寝ている久馬さんを見つけ、盛大に驚きます。
何せさっき、「飼い主に捨てられた犬が人間の姿になる」話を聞かされていたのだから…。
ギブ「えええええッ!!?」
暗転。
明転すると、誰もいない公園。
相変わらず、ベンチの周りには紙くずやらコントローラーなどで散らかったまま。
ただ、ひとつ変わった点は、中央の白いベンチに、「ペンキぬりたて」という張り紙が増えたこと。
下手側から、鈴木さん出。
鈴木「なんで嘘なんかついたんや…」
落胆したように、すぐ傍にあったベンチの足を蹴る。…が、痛かったらしい(笑)。
うずくまって、
鈴木「あーは…ミーシャ…」
で、このとき鈴木さんも、誰か女性歌手の名前を、2人ぐらい挙げていたのですが、失念してしまいました…。
ゴエちゃんの「ミーシャ」から始まって、ギブソンさんの「吉村有美」→久馬さんの「ゆうゆ」→鈴木さんへと繋がった歌姫のバトンでした。お見事!
1回目のみ、うずくまった際に、思いっきり「ペンキ塗りたて」のベンチに手をついてしまって、これにも「あーは…」
ふと、うずくまったその視線の先にある、手紙に目を留める鈴木さん。
くしゃくしゃになってしまっているその手紙のしわをのばし、じっと、その手紙を読む。
鈴木「こんな俺で、ごめん。息子をよろしく。本当に、ありがとう」
鈴木さんが読んだのは、久馬さんが「あやめさん」に宛てて書いた手紙だった…。
鈴木「…サヤマ…?」
と、下手側から久馬さん登場。
1回目のみ、ボロボロの上着の前ボタンを留め、シャツと上着の間にポチをすぽっと入れてあやしながら登場(笑)。
2回目は、普通に胸の前でポチを抱きかかえて登場しました。
鈴木「あの、この手紙を書いた人、知りませんか?」
久馬「その、手紙…?」
怪訝そうな久馬さん。鈴木さんが持っている手紙を見て、自分が「あやめさん」宛てに書いた手紙だと分かります。
鈴木さんは、この手紙は自分の友達、サヤマが書いたものではないのか、と思いこんでいた。けれど…。
鈴木「いや…、でも、そんなこと…。こんな手紙、あいつに書けるはずがないんです。…あいつは、もう、死んだから…」
久馬「…なあ、なんでその手紙、友達が書いたものだって、思ったん?」
鈴木「え?…ああ、ここに…“息子をよろしく”って書いてあったから…」
サヤマには子どもが生まれる。
だから、あとのことを自分に託したのかと。
けれど、現実的に、サヤマがこの手紙を書けたはずがない。
久馬「…あのさ。届くはずがない人から、手紙が届くことも、もしかしたら、あるかもしれへんで」
この世界には、無駄なもの、余計なものなど何もない。
「偶然」起こったことも、全ては「必然」なのだ。
だから、鈴木さんがこの公園で、この手紙を読んだこと。
それも、「必然」だったのかもしれない。
久馬さんの長セリフでした。
鈴木「…もしかしたら、僕とあなたがこうして会ったことも、“必然”だったのかもしれませんね」
久馬さんの言葉で元気付けられた鈴木さん。
下手側に久馬さん、上手側に鈴木さん。そして灘儀さんが登場。
その衣装が、なぜかキラキラゴージャス。
さえない灰色のつなぎ姿だったのに、肩のところには金色のふさふさが付け足されているし、ボタンもぴかぴか。
思いっきりびっくりする久馬さんと鈴木さん。
鈴木「え…なんですか、これ?」
灘儀「いやぁ、わたし、定年を迎えましてね。そのお祝いに、新調して貰ったんですよ」
2回目、
「どうせ新調して貰うなら、ズボンも綺麗にしてもらえばよかったのに…」
きらきら豪華な飾りがついたのは上着だけで、ズボンは普通だった(笑)。
また、久馬さんが2回とも、
「うわぁこれ…ジュリーみたいですね」
とフリをして、灘儀さんにジュリーの物真似をさせる。
灘儀さん、激しく動いてジュリーの物真似をすると、頭につけたベビーパウダーが舞う(笑)。
鈴木「うわっ、なんか頭から煙出てますよ!」
灘儀「わたしジュリーの物真似すると頭から煙出るんです」
ひとしきり、新調した管理人さんの服に2人が驚いていると、上手側からギブソンさんが登場。
ギブ「あっ、ポチ!!」
ギブソンさん、久馬さんを見つけるなり、その頭を犬のようになで、抱きしめます。
鈴木「何!?何!?」
ギブ「何って、この人、ポチなんです。僕の犬が人間の姿になっているんです」
鈴木「この子、頭大丈夫?」
灘儀「この人が、お前の犬だって言うのか?」
ギブ「ほら、おっちゃんがしてくれた話!昨日の夜は驚いて、そのまま走って帰って来てもうたんやけど、やっぱり間違いなかった!」
久馬さんはギブソンさんの手から逃れ、上手側にポチと一緒にいます。
下手側で、
灘儀「じゃあ、君、あの人に聞いてみればいい。あなたは、犬ですか?って」
鈴木「このオッサンも頭大丈夫?」
一連のやり取りを聞いていたのかいないのか、久馬さんはギブソンさんに向かって言った。
久馬「ひょっとして…、シンか?」
暗転。
明転。
ベンチの周りに落ちていた紙くずなどは、綺麗になくなっている。
…なくなっているのは、紙くずだけではない。
ベンチそのものも、綺麗になくなっていた。
ぽっかりと空間のあいた公園。
ゴエちゃんが焦ったようにやってきて、あの夜、自分が書いたプロポーズの手紙はどこにあるのかと探し回る。
結局見つからず、ハケ。
下手側から、久馬さんとギブソンさんが楽しそうに出。
久馬さんは、ボロボロだった上着が綺麗になっている。
ギブソンさんは、ポチのぬいぐるみを持っています。
1回目
久馬「御堂筋パレードの逆走めっちゃおもろかったな!」
ギブ「うん!警察にいっぱい止められたけど!」
2回目
久馬「堺筋パレードめっちゃおもろいわ!」
とりあえず息子と遊んで興奮して、疲れている様子の久馬さんに、ギブソンさん、「これからいっぱい働いてもらうんやから、しっかりして、お父さん!」
久馬さん、ギブソンさんのその言葉に、感極まって…ギブソンさんにタックル。
ギブ「なんで!?おかしいでしょ感極まってタックルかますって!抱きつくとこでしょ普通!」
上手側から、鈴木さん出。
久馬「ああ…」
と、挨拶をするも、鈴木さんは一瞬、怪訝そうな顔。それから、ぱっと気がついて、
鈴木「ああ!見違えてるんで分かりませんでしたよ…」
久馬さんの上着が綺麗になったことを言っているようです。(でもホームレス状態でもズボンはめっちゃ綺麗だったんだけどね。笑)
ギブソンさんは、「じゃあ僕、ポチと一緒に遊んでくる!」と言って、ポチを思いっきり舞台下手側の袖に放り投げる(笑)。
「犬!犬!」と驚く鈴木さん、そしてポチを追って下手側にハケたあとのギブソンさんの様子を解説する久馬さん。
久馬さんの実況によると、
1回目は犬とギブソンさんがじゃれ合って、最終的に仲良しになる感じ。
2回目は、犬とギブソンさんが乱闘して、なんかプロレス的な(笑)技の決め合いをしたあと、ギブソンさんが犬に負ける感じでした(笑)。
久馬さんと鈴木さん、舞台上に2人になり、
鈴木「そう言えば、最近公園の管理人さん、見かけなくなりましたね」
久馬「そうですね…」
人の話に何かと割って入り、いつも気がつくとそこに居た。公園と一緒に、僕らを見守っているような人だった。
鈴木「なんだか、ベンチみたいな人でしたね」(←聞いていて、ちょっと強引じゃない?と思いましたが。笑)
いつも公園に居て、公園で起こることを見守っている。
そう、ベンチみたいな人。
鈴木「そう言えば、このベンチに“ペンキぬりたて”の張り紙がしてあったとき、あの管理人さん、服を新調していましたよね」
そうして、公園にベンチがなくなった途端、ぱったり姿を見かけなくなった管理人さん…。
そう、あの管理人さんの正体は、ベンチだったのだ。
ここで全員をそっと見守っていた、白いベンチが、人間の姿をして現れていたのだ。
久馬さんは下手側、鈴木さんは上手側で、それぞれ遠くのほうを見つめ、満足げな表情。
流れているBGMも、なんだかハッピーエンド調の音楽で盛り上がって…
…。
……。
久馬・鈴木「!?」(2人そろって、どんどんいぶかしげな顔になっていく。)
鈴木「ハァ?!そんなことあるわけないやん!なんやベンチが人って!」
久馬「え、人がベンチで?ベンチが人で?(「おれがアイツでアイツがおれで」みたいな口調で)」
そんなことがある訳がない、とパニックになる2人のもとに、話の張本人、灘儀さんが登場。更にパニックになる2人。
久馬「あっ、見たらアカン!見たらアカン!」
鈴木「今からベンチに変身するから!?変身する瞬間は見ちゃいけない!!」
灘儀「いやぁ…なんですかちょっとあなたたち…。別にわたし変身しませんよ、トランスフォーマーじゃないんですから、わたし今からベンチに変身するとかありませんから!」
と言いながら、「人からベンチに変身する」動きをちょっとやってみる灘儀さん(笑)。
灘儀「ガコンガコンガコン」
と、体を動かす。
…そうやって激しく動くと、灘儀さんの頭につけたベビーパウダーが舞う(笑)。
とにかく、公園の管理人さんは、人だ。ベンチではない。
久馬さんが、パニックになった際、「ベンチマン!噂には聞いていたけど、まさかベンチマン…!?」と、1回目も2回目も口走るのですが、
2回目、
灘儀「ベンチマンってなんなんですか」
の問いに、久馬さん、即答で
「知りません」
と答えました。(笑)
適当に言い過ぎです…。
鈴木「でも、この前定年って言ってませんでしたっけ?」
灘儀「いや、それが…」
灘儀さん、どうも気になることがあるそうです。
そうして灘儀さんがポケットから取り出したのは…、封筒。中には、プロポーズの手紙と、指輪。
灘儀「誰かが、わたしにプロポーズをしてくれたんですがね…。これ、差出人の名前も書いていなくて…」
灘儀さん、久馬さん、鈴木さんが、3人で下手側で相談しているところに、ゴエちゃんがプロポーズの手紙を探してウロウロ。上手側を探していたところ、3人の会話が聞こえてきてしまう。
灘儀「いやぁ、わたしこれ、返事をしたいのですが、一体どこの誰が書いたんでしょうねぇ。まったく手紙出したがりーの名前書き忘れてうっかりーのですね」
鈴木「え、でもこれ、名前が書いてないってことは、管理人さん宛てかどうかも分からないじゃないですか?」
灘儀「いえ、これはわたし宛てですよ。わたし宛てで間違いありません」
鈴木「なんでですか?」
灘儀「ここにあったからです」
灘儀さん、ベンチの場所を指し示します。
鈴木「え?ここにあったから、管理人さんのもの?」
灘儀「そうです。わたしベンチに名前書いてあったでしょ?“ナガイ”って」
鈴木「…え!?“ナガイ”ってあれ、管理人さんの名前やったんですか!?」
灘儀「はい、そうです。わたし“永井豪”です」
久馬「え!?管理人さん、永井豪さん…?」
灘儀「はい、そうですね、オーストラリアの“豪”で…」
あのベンチは管理人さん、永井さんのもの。だからあのベンチにあったものは、全部永井さんのもの。
鈴木「いやでも、中に指輪も入っていたんでしょ?指輪のサイズが違えば…」
ところが、灘儀さんの指に、指輪はピッタリ。
ゴエちゃん、後ろを向いたまま、非常に言い出しづらそうに肩を落とす。
灘儀「寝ている間とかに指の寸法を測られたのでしょうか。よっぽどわたしのことが好きなんですね…」
このプロポーズの手紙を書いたのは一体誰なのか。
…遂に、ゴエちゃんが後ろを向いたまま、ゆっくりと手を挙げます。
1回目
ピシッとひじを曲げずに挙手。
2回目
ちょっと壁にもたれかかるような感じで、ゆったり挙手。
それを見た久馬さんが、「タクシーでも呼んでるんちゃう?向こう(下手側)に三菱のタクシーいっぱいとまってますよ」
そこへギブソンさんが、ポチを抱きしめながら下手側から出。
2回目のみ、
ギブ「向こうにいっぱい三菱のタクシー止まってた」
ギブソンさん、ゴエちゃんを見て、「あっ!」と久馬さんの後ろに隠れる。
ゴエちゃんは、灘儀さんのもとへと歩み寄り、
ゴエ「これも何かの縁なのでしょう。僕と、結婚を前提に付き合ってください」
と、右手を差し出す。
鈴木「はぁ?」
ゴエ「僕…ゲイなんです」
1回目は、カミングアウト後も男らしくそのまま。
2回目は、このカミングアウト後、しなを作ったり内股にしたりとそれっぽくなる。
このカミングアウトのとき、久馬さんが慌ててギブソンさんの耳をふさごうとします(笑)。
ギブソンさんは、何?何?と、分かっていない様子。
ゴエ「いやぁ、あの結婚も、親を安心させる為、形だけ結婚する、という体だったんです」
鈴木「いや、そんな、アンタはよくても、管理人さんが困るでしょう」
と言うも、管理人さんの返答は…
灘儀「はい、いいですよ」
がっつりと手を握り合う2人。
鈴木「えええ!?」
灘儀「いや、実はですね、わたしも、ゲイなんです」
ゆっくりとBGMが大きくなるなか、ざわめく公園。
久馬「え?何ここゲイ公園?ゲイ公園?」
2回目のとき、灘儀さんが、指を2本出して「2回…」と言ったのですが、大きくなるBGMにかき消されて聞こえませんでした。
「RE(アールイー)」完。
***
劇が終わったあと、一列に並んで客席に向かって礼をするのですが、ポチのぬいぐるみを持ったギブソンさん。
ポチの顔をきょろきょろ、客席を見渡すように動かして、それから幕がしまるころ、ポチの手を振っていました。
ポチ、かわいいです(笑)。
漫天のお2人は、それぞれ1回こっきりしか出番がなく、1回出たら、それ以降お芝居には登場しない、という、それじゃなんでこの2人を起用したんだ?という役回りでした(笑)。
そしてこのお話、まさかの「ゲイ落ち」でした。
オチはかなりくだらないのですが、そのくだらなさ、わたしは別に嫌いじゃなかったです。
見終わったあと、「くだらねー…!」と笑っちゃうような、そんな心地よさでした。
2回目に見たときに、冒頭の部分で、久馬さんと息子とのキャッチボールのシーンで、
久馬「あなたも、お子さんが出来たら分かるでしょう」
灘儀「いえ、わたしは、無理ですよ」
というやり取りが、つまりはそういう意味だった、と分かったときにはニヤッとしてしまいました(笑)。
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