カテゴリーで公演名を確認して下さいませ。
とおし番号(1、2…)がある場合は、順番に読むと良いことがあるかも…、
もとい、順番になっています。
もっと読みたいものは、「つづきはこちら」からどうぞ。
+ + + + + + + + + +
このお話は、一言で言うと本当にピュアです。
「純愛」、というのでしょうか。
「東北」を舞台としたことで、お話全体が本当にあたたかなものですし、「自然」に目を向ける主人公が居て、片方では「都会の流行」に目を向ける主人公が居る。
例えば「小さな孤島」であるから、智也が幼い頃から心臓の病気を患い、そのせいで周囲からいじめられることになってしまっても、(事情を知らない周囲は、「人と違う」智也を容赦なくいじめるし、)誰も助けてくれる人は居なかった。そんな「孤島」の怖さもあると思いますが。
(つまり梓という「部外者」が島に来たことで、ようやく智也は救われることになったわけです。)
話としては、本当に「王道」。
ラブストーリーの王道を、全く踏み外すことなく作られたお話だと思います。智也が梓にひかれていく描写にはキュンとしましたし、また、そんな智也が最後に「実は病気でした」と明かされたときにも、「そんなにも“ザ・王道”な話を、あえて上演してしまうんだ、神保町花月って!?」と思いました。
恋人の死って、「お話」として、あまりにも「セオリーどおり」な気がして…。
また、この話のラストは、客席からもすすり泣きが漏れるほどの感動のシーンでした。
「死」ネタで人を泣かすなんて、簡単だと思うんです。
というか、人が死んでそれで感動させるなんて、方法としては、「ズルイ」と思ってしまいます。(すみません、あまのじゃくで。)
でも、それでもここで「智也の死」をぶつけてきたこの「真っ向勝負」っぷり。
使い古された「お約束」のお話を、あえて曲げずに「王道のラブストーリー」を貫いたというこのお芝居は、この時代にあえてこれをやる、という意味は、あったかなぁ、と。
だってこんな話、今時どこに行ったら見れるんでしょうか。こんな使い古されて、誰もがあえて避けるようなこのストーリーを。
ちなみにわたしは号泣してしまいましたが(笑)。言い忘れましたがわたしの涙もろさはハンパないです。
もらい泣きなんてあっという間にします。すぐ泣きます。
智也が梓にひかれていく、BGMに「浪漫飛行」が流れたときにはもう、胸がキュンとし過ぎてかなりヤバかったんですが、雄介が涙を流しながら智也の死を告げるシーンは、雄介を演じる菊地さんの涙を見た瞬間、涙が止まりませんでした。もらい泣きです。
そして、菊地さんが流した涙が、本当に綺麗に見えたから。
チーモンチョーチュウのお2人の演技を見るのが、今回初めてだったのですが、ものの見事にノックアウトされてしまいました。
あんなにも熱演し、役に入り込み涙を流す。
菊地さんが、そんな素晴らしい演技を見せてくれるなんて、思ってもいなかったんです。
なので、舞台上の涙にビックリしたのも、あります。
予期せぬ出来事に、すっかり心奪われてしまったのです。
そしてラストシーン。
「照明さんががんばった」(笑)、客席までもを星空で包み込む演出。
これは凄い。
「東北ラブストーリー」は映像化されることのない舞台ですが。
このシーンだけは、たとえ映像化されても、劇場に居なければ決して体感することの出来なかった「感動」です。
この演出には、ものの見事にしてやられました。
「東北ラブストーリー」って、お話自体は本当に「セオリーどおり」のお話ですが、それを精一杯演じる菊地さんの熱意や、照明の演出、それらが本当にいいスパイスになっていたなぁ、と思うんです。
話が変わります。
「ルビンの壷」という絵の話です。
丁度この頃、はやみねかおるの「虹北恭介の新・新冒険」という本を読んでいまして、そこに出てきた話です。
「ルビンの壷」というのは、有名なだまし絵です。誰もが一度は見たことがある思うのですが、「優勝カップみたいな壷の絵があり、けれど見方を変えると、その壷の横に、人の横顔が2つ浮かんで見えてくる」という絵です。
-抜粋-
「ルビンの壷で、壷と、向き合った二人の横顔―(中略)おもしろいと思わないかい?同じ物を見ているのに、ある人は『壷』の絵だと思い、ある人は『向き合った二人の横顔』だと思う」
他の人の「東北ラブストーリー」の感想を読んでいると、「泣けなかった」という方も沢山いらっしゃいます。
多分、そうだろうなぁ、と思います。
だって余りにもあまりにもベタ過ぎます、「ここで泣いてください」というポイントも分かり易すぎるんですから。(そのポイントでものの見事に号泣していたわたしはさておき。)(わたしはいつも、自分の涙もろさを知っているので、「それとこれとは話が別」だと思っていますから。笑)
「ルビンの壷」の話だと、例えばある人は、
梓の、「重い荷物をレディに持たせるなんて!」という発言について、
「そんな発言をもかわいい!と思わせてしまう岡田さんの演技が凄い」ととらえ、またある人は、
「そんな発言をするなんて、なんてイヤな女なんだろう、と思ってしまう」という方もいました。
同じ梓の、同じ「発言」なんですけどね。
真逆の見え方があるみたいです。
梓の行動は、見ようによっては、確かにひどいんです。
だって、「明日の7時、船着場で」という約束を、ほんの数分前、雄介と交わしていたのに、あっさり智也とダブルブッキングの約束をしてしまい、しかもその翌日、雄介に謝罪の言葉は一切ない(笑)。
この「東北ラブストーリー」というお話はまた、「ルビンの壷」。
見る人によって、「壷」に見えたり「横顔」に見えたりする、おもしろいお話だなぁ、と。
他の人の感想を読んでいて、思いました。
さて、前に書ききれなかった、わたしが好きなシーンの話です。
それは、正人が、「梓から手を引くように」と、智也を脅し、それを知った雄介が、「そんなことを頼んだ覚えはねえ!」と怒るシーン。
このシーン、つらかったなぁ。
前のシーンで、正人は本当に、心から雄介のことを慕っていて、雄介のことを純粋に応援している。
その「熱い思い」が、わたし、すーっごく好きだ、と思ったから。
でも、正人…、それは、「違う」よ。
智也を脅して梓から手を引かせるなんて、そんなのずるい。全然フェアじゃない。
真っ直ぐな思いを持った正人が、まさかそんな卑怯な手段に出るなんて思わなくて、つらかったです。
でも、正人にとっては、「よかれと思って」やったことなんだろうなぁ…、って思って…。
本当に、雄介と梓が結ばれてほしいと、心から思っているから。
自分が慕う雄介の邪魔となる智也のことは、どうしても目障りにうつってしまったんだろうなぁ。
真っ直ぐなんだけど、「間違ったこと」をしてしまった正人。
真っ直ぐに雄介を思うあまり、「間違った行動」に出てしまった正人のことが…。
見ていて、本当にギュッと胸が締めつけられる思いでした。
前のシーンで、あんなに熱く雄介のことを語ったからこそ。
だからこそ、こんな「脅す」なんて手段に出てしまった正人…。
「正人、それは違うよ!!」って、言いたかった…。
それぐらい、このシーンは印象に残っていて…。
正人は、真剣だったんだ。
でも、その真剣さを、卑怯な手段に使ってしまった。
このもどかしさが、なんだか…凄く切なく映ったシーンでした。
ラストの、智也の死を知らされた、梓。
どちらがつらいんだろう、と思います。
この話、とても美しく、とても綺麗に終わってはいますが…
「ちょっぴり切ない」どころの騒ぎではなく、「相当残酷」な話だと思います。
ずっと生きていると信じていた恋人が、もう死んでいた。
しかも、2年前に。
恋人からのラブレターだと信じてやまなかった2年間分の手紙は、友達とはいえ、恋人ではない人が書いていた…。
「梓を悲しませない為」だと、雄介は言うんです。
でも…
「智也の死」を知らされることと、
「智也の死」に、「手紙の嘘」を塗り重ねられて知らされること。
しかも、「やっと智也に会える!!」と、あんなに喜んでいたのに…。
どちらが悲しいんだろうか、梓は?
「智也が死んでいた」ことだろうか?
それとも、「2年間、智也だと信じていた手紙の主が、実は違う人だった」ことだろうか?
また、「2年間、自分には智也の死を知らされていなかった」ことも、悲しいと思うんだろうか?
「梓を悲しませない為」
…その為に、雄介がすべきことは、手紙で嘘を塗り固めることだったんだろうか?
もしかして、4年間の文通で、梓の気持ちが智也から離れていくことを、期待していたんだろうか?
それは、「智也の死」をちゃんと受け入れられるぐらいに、智也のことを離れて見ることが出来るようになるのを、待っていたんだろうか?
いつまで、梓を騙し続けるつもりだったんだろう?
こんな嘘、いつまでも続けられるものじゃない、と思う。
死んだという事実を覆い隠し、いくら辛いからって、真実を梓に教えない、という行動は…。
わたしだったら、いやだ。
もし、わたしだったら、そんなのいやだ。
智也がアメリカに行く際、「自然を勉強したいから」と嘘をついたこと。
「梓に心配かけたくないから」
そう言うけれど…
多分、智也が初めて一途に好きになった人には、本当に智也は心から、思っていたんだろう。
「梓に心配かけたくない」
でも、わたしなら、まず真っ先に。
雄介ではなく、梓に。
梓に、「アメリカに行くのは、手術の為」だと、言ってほしかった…。
なんだったら、村のみんなにも。「オシャレサークル」のメンバーにだって。
本当のことを言ってほしかった。
智也と雄介がしたのは、やさしい嘘なんかじゃない。すっごくつらい、悲しくて残酷な嘘だ。そう思う。
どんなに辛い真実でも、それを隠そうとする嘘のほうが、何倍も辛いと…わたしは思う。
智也の死を知った梓は、この後、どうするんだろう。
ベタだけれども、雄介と結ばれるんだろうか?
凄く美しく、綺麗に幕を閉じた「東北ラブストーリー」だけど…
ひどく悲しく、残酷な話でもあるなぁ、と。思うんです。
最初は、チーモン白井さんと、カナリア安達さんの役が逆だった、と聞いたときは、ほんとに今の配役になって良かったぁ…!!と思いました。
そりゃ、カナリア安達さんなら安達さんなりに、「智也」を演じてみせるのでしょうが、2度の「座長公演」を務めた安達さんには、そろそろ自由に遊んでほしかったし(笑)、確かに安達さんの「好青年」の役も見たい、とは思っていたけれど、これは「座長・チーモンチョーチュウ」のお芝居なんだもの。
「智也」はもう既に、白井さんにしか演じられない人物だと思っています。
白井さんの持つ、独特の雰囲気。
病弱で、いじめられていて、自然が大好きで、恋をして初めて、心から笑うことが出来た智也。
これほどまでにマッチしている役って、ないと思います。
菊地さんもそうです。
やっぱりこの「東北ラブストーリー」は、主役をチーモンのお2人が務めたからこそ、意味のあるお芝居だったと思います。
このチーモンのお2人の演技には、完全にやられました。
本ッ当に、素晴らしかったです。
このお話がピュアなのって、
雄介が、本気で梓に恋をした、その、見ていてむずがゆくなっちゃうような、ピュアな一途さ。
智也が、梓が好きだ!という思いを爆発させ、バタフライナイフを素手で握って叫ぶ、一途な思い。
梓が、ずーっと、4年もの間、智也と手紙のやり取りのみの遠距離恋愛をしていた、智也への一途な思い。
3人が本気で恋してる。
本当に、「純愛」だなぁ、と思うんです。
恋とはまた違った、
智也と雄介の友情。
そして、雄介と正人の友情。
この2つも、とーってもピュアで、ああ、素敵だなあ、と思うんです。
…多分、梓は。
梓は、智也の父親に見せてもらった、あの満点の星空を見て。
救われたんだよ、ね。
梓には、聞こえたのかもなぁ。
智也の声が。
なーんてねー。
てなことを思った「東北ラブストーリー」でした。
2008/1/30
「純愛」、というのでしょうか。
「東北」を舞台としたことで、お話全体が本当にあたたかなものですし、「自然」に目を向ける主人公が居て、片方では「都会の流行」に目を向ける主人公が居る。
例えば「小さな孤島」であるから、智也が幼い頃から心臓の病気を患い、そのせいで周囲からいじめられることになってしまっても、(事情を知らない周囲は、「人と違う」智也を容赦なくいじめるし、)誰も助けてくれる人は居なかった。そんな「孤島」の怖さもあると思いますが。
(つまり梓という「部外者」が島に来たことで、ようやく智也は救われることになったわけです。)
話としては、本当に「王道」。
ラブストーリーの王道を、全く踏み外すことなく作られたお話だと思います。智也が梓にひかれていく描写にはキュンとしましたし、また、そんな智也が最後に「実は病気でした」と明かされたときにも、「そんなにも“ザ・王道”な話を、あえて上演してしまうんだ、神保町花月って!?」と思いました。
恋人の死って、「お話」として、あまりにも「セオリーどおり」な気がして…。
また、この話のラストは、客席からもすすり泣きが漏れるほどの感動のシーンでした。
「死」ネタで人を泣かすなんて、簡単だと思うんです。
というか、人が死んでそれで感動させるなんて、方法としては、「ズルイ」と思ってしまいます。(すみません、あまのじゃくで。)
でも、それでもここで「智也の死」をぶつけてきたこの「真っ向勝負」っぷり。
使い古された「お約束」のお話を、あえて曲げずに「王道のラブストーリー」を貫いたというこのお芝居は、この時代にあえてこれをやる、という意味は、あったかなぁ、と。
だってこんな話、今時どこに行ったら見れるんでしょうか。こんな使い古されて、誰もがあえて避けるようなこのストーリーを。
ちなみにわたしは号泣してしまいましたが(笑)。言い忘れましたがわたしの涙もろさはハンパないです。
もらい泣きなんてあっという間にします。すぐ泣きます。
智也が梓にひかれていく、BGMに「浪漫飛行」が流れたときにはもう、胸がキュンとし過ぎてかなりヤバかったんですが、雄介が涙を流しながら智也の死を告げるシーンは、雄介を演じる菊地さんの涙を見た瞬間、涙が止まりませんでした。もらい泣きです。
そして、菊地さんが流した涙が、本当に綺麗に見えたから。
チーモンチョーチュウのお2人の演技を見るのが、今回初めてだったのですが、ものの見事にノックアウトされてしまいました。
あんなにも熱演し、役に入り込み涙を流す。
菊地さんが、そんな素晴らしい演技を見せてくれるなんて、思ってもいなかったんです。
なので、舞台上の涙にビックリしたのも、あります。
予期せぬ出来事に、すっかり心奪われてしまったのです。
そしてラストシーン。
「照明さんががんばった」(笑)、客席までもを星空で包み込む演出。
これは凄い。
「東北ラブストーリー」は映像化されることのない舞台ですが。
このシーンだけは、たとえ映像化されても、劇場に居なければ決して体感することの出来なかった「感動」です。
この演出には、ものの見事にしてやられました。
「東北ラブストーリー」って、お話自体は本当に「セオリーどおり」のお話ですが、それを精一杯演じる菊地さんの熱意や、照明の演出、それらが本当にいいスパイスになっていたなぁ、と思うんです。
話が変わります。
「ルビンの壷」という絵の話です。
丁度この頃、はやみねかおるの「虹北恭介の新・新冒険」という本を読んでいまして、そこに出てきた話です。
「ルビンの壷」というのは、有名なだまし絵です。誰もが一度は見たことがある思うのですが、「優勝カップみたいな壷の絵があり、けれど見方を変えると、その壷の横に、人の横顔が2つ浮かんで見えてくる」という絵です。
-抜粋-
「ルビンの壷で、壷と、向き合った二人の横顔―(中略)おもしろいと思わないかい?同じ物を見ているのに、ある人は『壷』の絵だと思い、ある人は『向き合った二人の横顔』だと思う」
他の人の「東北ラブストーリー」の感想を読んでいると、「泣けなかった」という方も沢山いらっしゃいます。
多分、そうだろうなぁ、と思います。
だって余りにもあまりにもベタ過ぎます、「ここで泣いてください」というポイントも分かり易すぎるんですから。(そのポイントでものの見事に号泣していたわたしはさておき。)(わたしはいつも、自分の涙もろさを知っているので、「それとこれとは話が別」だと思っていますから。笑)
「ルビンの壷」の話だと、例えばある人は、
梓の、「重い荷物をレディに持たせるなんて!」という発言について、
「そんな発言をもかわいい!と思わせてしまう岡田さんの演技が凄い」ととらえ、またある人は、
「そんな発言をするなんて、なんてイヤな女なんだろう、と思ってしまう」という方もいました。
同じ梓の、同じ「発言」なんですけどね。
真逆の見え方があるみたいです。
梓の行動は、見ようによっては、確かにひどいんです。
だって、「明日の7時、船着場で」という約束を、ほんの数分前、雄介と交わしていたのに、あっさり智也とダブルブッキングの約束をしてしまい、しかもその翌日、雄介に謝罪の言葉は一切ない(笑)。
この「東北ラブストーリー」というお話はまた、「ルビンの壷」。
見る人によって、「壷」に見えたり「横顔」に見えたりする、おもしろいお話だなぁ、と。
他の人の感想を読んでいて、思いました。
さて、前に書ききれなかった、わたしが好きなシーンの話です。
それは、正人が、「梓から手を引くように」と、智也を脅し、それを知った雄介が、「そんなことを頼んだ覚えはねえ!」と怒るシーン。
このシーン、つらかったなぁ。
前のシーンで、正人は本当に、心から雄介のことを慕っていて、雄介のことを純粋に応援している。
その「熱い思い」が、わたし、すーっごく好きだ、と思ったから。
でも、正人…、それは、「違う」よ。
智也を脅して梓から手を引かせるなんて、そんなのずるい。全然フェアじゃない。
真っ直ぐな思いを持った正人が、まさかそんな卑怯な手段に出るなんて思わなくて、つらかったです。
でも、正人にとっては、「よかれと思って」やったことなんだろうなぁ…、って思って…。
本当に、雄介と梓が結ばれてほしいと、心から思っているから。
自分が慕う雄介の邪魔となる智也のことは、どうしても目障りにうつってしまったんだろうなぁ。
真っ直ぐなんだけど、「間違ったこと」をしてしまった正人。
真っ直ぐに雄介を思うあまり、「間違った行動」に出てしまった正人のことが…。
見ていて、本当にギュッと胸が締めつけられる思いでした。
前のシーンで、あんなに熱く雄介のことを語ったからこそ。
だからこそ、こんな「脅す」なんて手段に出てしまった正人…。
「正人、それは違うよ!!」って、言いたかった…。
それぐらい、このシーンは印象に残っていて…。
正人は、真剣だったんだ。
でも、その真剣さを、卑怯な手段に使ってしまった。
このもどかしさが、なんだか…凄く切なく映ったシーンでした。
ラストの、智也の死を知らされた、梓。
どちらがつらいんだろう、と思います。
この話、とても美しく、とても綺麗に終わってはいますが…
「ちょっぴり切ない」どころの騒ぎではなく、「相当残酷」な話だと思います。
ずっと生きていると信じていた恋人が、もう死んでいた。
しかも、2年前に。
恋人からのラブレターだと信じてやまなかった2年間分の手紙は、友達とはいえ、恋人ではない人が書いていた…。
「梓を悲しませない為」だと、雄介は言うんです。
でも…
「智也の死」を知らされることと、
「智也の死」に、「手紙の嘘」を塗り重ねられて知らされること。
しかも、「やっと智也に会える!!」と、あんなに喜んでいたのに…。
どちらが悲しいんだろうか、梓は?
「智也が死んでいた」ことだろうか?
それとも、「2年間、智也だと信じていた手紙の主が、実は違う人だった」ことだろうか?
また、「2年間、自分には智也の死を知らされていなかった」ことも、悲しいと思うんだろうか?
「梓を悲しませない為」
…その為に、雄介がすべきことは、手紙で嘘を塗り固めることだったんだろうか?
もしかして、4年間の文通で、梓の気持ちが智也から離れていくことを、期待していたんだろうか?
それは、「智也の死」をちゃんと受け入れられるぐらいに、智也のことを離れて見ることが出来るようになるのを、待っていたんだろうか?
いつまで、梓を騙し続けるつもりだったんだろう?
こんな嘘、いつまでも続けられるものじゃない、と思う。
死んだという事実を覆い隠し、いくら辛いからって、真実を梓に教えない、という行動は…。
わたしだったら、いやだ。
もし、わたしだったら、そんなのいやだ。
智也がアメリカに行く際、「自然を勉強したいから」と嘘をついたこと。
「梓に心配かけたくないから」
そう言うけれど…
多分、智也が初めて一途に好きになった人には、本当に智也は心から、思っていたんだろう。
「梓に心配かけたくない」
でも、わたしなら、まず真っ先に。
雄介ではなく、梓に。
梓に、「アメリカに行くのは、手術の為」だと、言ってほしかった…。
なんだったら、村のみんなにも。「オシャレサークル」のメンバーにだって。
本当のことを言ってほしかった。
智也と雄介がしたのは、やさしい嘘なんかじゃない。すっごくつらい、悲しくて残酷な嘘だ。そう思う。
どんなに辛い真実でも、それを隠そうとする嘘のほうが、何倍も辛いと…わたしは思う。
智也の死を知った梓は、この後、どうするんだろう。
ベタだけれども、雄介と結ばれるんだろうか?
凄く美しく、綺麗に幕を閉じた「東北ラブストーリー」だけど…
ひどく悲しく、残酷な話でもあるなぁ、と。思うんです。
最初は、チーモン白井さんと、カナリア安達さんの役が逆だった、と聞いたときは、ほんとに今の配役になって良かったぁ…!!と思いました。
そりゃ、カナリア安達さんなら安達さんなりに、「智也」を演じてみせるのでしょうが、2度の「座長公演」を務めた安達さんには、そろそろ自由に遊んでほしかったし(笑)、確かに安達さんの「好青年」の役も見たい、とは思っていたけれど、これは「座長・チーモンチョーチュウ」のお芝居なんだもの。
「智也」はもう既に、白井さんにしか演じられない人物だと思っています。
白井さんの持つ、独特の雰囲気。
病弱で、いじめられていて、自然が大好きで、恋をして初めて、心から笑うことが出来た智也。
これほどまでにマッチしている役って、ないと思います。
菊地さんもそうです。
やっぱりこの「東北ラブストーリー」は、主役をチーモンのお2人が務めたからこそ、意味のあるお芝居だったと思います。
このチーモンのお2人の演技には、完全にやられました。
本ッ当に、素晴らしかったです。
このお話がピュアなのって、
雄介が、本気で梓に恋をした、その、見ていてむずがゆくなっちゃうような、ピュアな一途さ。
智也が、梓が好きだ!という思いを爆発させ、バタフライナイフを素手で握って叫ぶ、一途な思い。
梓が、ずーっと、4年もの間、智也と手紙のやり取りのみの遠距離恋愛をしていた、智也への一途な思い。
3人が本気で恋してる。
本当に、「純愛」だなぁ、と思うんです。
恋とはまた違った、
智也と雄介の友情。
そして、雄介と正人の友情。
この2つも、とーってもピュアで、ああ、素敵だなあ、と思うんです。
…多分、梓は。
梓は、智也の父親に見せてもらった、あの満点の星空を見て。
救われたんだよ、ね。
梓には、聞こえたのかもなぁ。
智也の声が。
なーんてねー。
てなことを思った「東北ラブストーリー」でした。
2008/1/30
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