カテゴリーで公演名を確認して下さいませ。
とおし番号(1、2…)がある場合は、順番に読むと良いことがあるかも…、
もとい、順番になっています。
もっと読みたいものは、「つづきはこちら」からどうぞ。
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ところで、ちょっとただの確認なのですが、 Mr.カーンが枕元に置いた「ごめん」の置手紙は、粟津宛てのもの、ということでいいんです…か? あのお芝居を見ていた最中は、なんとなく粟津含め、このサーカスの団員に無理やりさせられた全員に向かっての「ごめん」の言葉なのかなぁ…と考えていて。 このお話、登場人物一人ひとりに、凄くストーリーがあって、それはそれで良いんですが、良いんですが…話があっちこっち四方八方に飛ぶもので、例えば最後に新高が自首することを決意し、自ら刑事に「連行してください」と申し出た時も、ええ?と。 突然!と。 いや、勿論あれは春川のこともあったのでしょうし…、自首する決意をした経緯は確かに分かるっちゃあ分かるんですが…余りにも描写がすっ飛ばされすぎていて、新高の過去のことを忘れかけていました…。もっと描写が欲しい、と思ったところなんて、やっぱりMr.カーンと粟津のやり取りも…。 原田を縛り付けて、誘拐しようとしてまでお金を手に入れようとして…なんて、強引な手段に走ってしまうまでに粟津が思いつめている素振りってありましたか? そして、カーンとの再会のシーン。 もっと…!もっとこう、さぁ…!(笑) 新高と粟津がお互いのことを打ち明けるシーンで、粟津のセリフ…凄いイリュージョンですよ、と自嘲するセリフとか、「親友」だと、思っていた…というセリフとか…。凄く良かったんですよ。凄く。 だからこそ、そのセリフに繋がるカーンとの再会のシーンが、やっと来た!と思ったら終わった!(笑)という感じで、ごっさ短っ!めっさあっさり!と思ってしまって。ただ単に、私が竹若さんのことを贔屓にしているということもあるのかもですが、^^; もっとじっくり見たかったです…。 新高と粟津がお互いの境遇を打ち明けるシーンは、もう途中から聞いてて「サークルS」の三島と楠の会話にしか聞こえませんでした。 舞台が終わって話を自分の頭の中でまとめる時も、「それであの時三島は…三島違うわ。新高だ」と、素で間違えたりするぐらいでした。 私が人間関係図に弱いというのもあるんですが、どこで誰と誰がどうなって…というのを整頓するのにも大変でした^^; 登場人物それぞれに深いストーリーがあるだけに、これがあの時の伏線、と見せられても、舞台で見せられた時は話についていくので精一杯で…。 感情移入するには余りに時間が短くて、誰に対して感情移入していいのかも分からず…。 久馬さんと灘儀さんのキャラが「サークルS」とカブっているとか、なぜか「禁洒法」のきりんが出てきたり(笑)変態戦隊のデジャブが起こったり(笑)、そしてゴエ氏の狂気の演技…。 「なゐ震る」でゴエさんの狂気の演技をみた時、凄く良かった、と思ったんです。今までゴエさんがそういう役を演じたことがなかったからか、新鮮で、そして怖くて、素敵だと思いました。 が、 「なゐ震る」の次に見たこの「地上最低のショウ」で、再びゴエさんのその演技が出た時、正直な話とっさに、 「またかい」 と思いました。 「サークルS」、「禁洒法」、そして「なゐ震る」を合わせた、長い芝居もんのような公演。 まぁ、ゴエさんの春川の演技は、是非実際に、近くでその演技を堪能したい、と凄く思わせるものでしたが。眼鏡なしの裸眼ですし、きっと凄くいい表情しながら演技しているんだろうな、と思わせるものだったので。 だって私ゴエさんが平山さんの首のロープを引っ張って移動したり、締め上げる時なんて、本当に平山さんが死んじゃう、役のMr.ポーンではなく、本当に「平山さんが」死んじゃう!と思ってしまったので。あのロープがどういう巻かれ方していたのか分かりませんが、苦しそうな平山さんを見て、本当に絞められているのか?と思ってしまいました。 なんというか、また「サークルS」と同じようなキャラが出てきたことについて… 多分、言いたいことを言いたかったんだろうな、って…。 「生きていくことのほうが、よっぽど勇気のいることです。 死んでしまうことのほうがよっぽど根性なしです。生きていくことのほうが、よっぽど根性のいることです」 灘儀さんのセリフですが、ちなみに「サークルS」での楠と桂のやり取りでは、こんなセリフがあります。 「わざわざ自ら命を絶つことはありません。それは逃げているとしか思えません」 「楠さんも…逃げてるんじゃないですか?」 もう一度、「サークルS」で言えなかったことを、「地上最低のショウ」で言いたかっただけなんじゃないのかなぁ…、と。だから、たまたま「サークルS」と似たような二人が出来てしまったけれど、それは「サークルS」を意識してのことではなく、ただ「今、言いたいこと」を言いたいと思ったら、そういう二人になってしまったと…。そういうことなんじゃないのかなぁ…と…。 「いじめ」。奇しくもタイムリーな公演となってしまった訳ですが…。 オチが、題材が、答えが出ないものであっただけに、話を整頓している時にもやもやとした後味の悪さを感じました。 「サークルS」のいじめ自殺は、そのテーマから感動的な仕上がりへと昇華していたのと比べてしまうと、余りにも…。余りにも何か、どうしようもなさだけを心に残すものであったような…。そんな思いです。 結局警察に逮捕されたのは春川だった。 でも…悪いのは一体誰? 一歩誤れば殺されていたということ、そして過去に自らが犯した過ちによって起こった結果、それをまざまざと見せ付けられておきながら…最後の花火を見て「地上最高のショウ」? 反省してんのか…? 春川は加害者なのか?被害者なのか? 余りにも春川が哀れすぎて…。 斎藤と蘭の二人だけは、学生時代の「いじめ」が原因でターゲットにされた訳ではないのですよね。 楽しいサーカスのショウも、見方を変えればこんなにも残酷なものへと豹変してしまうのか、と思ったのですが、こんな考え方をして、そして地上最高のショウをしようとした春川は相当病んでいますね。普通結び付けませんよ…この二つ。 サーカスを見に来る観客は嘲笑っているのではなくて、心から笑っている純粋な笑顔だというのに…。 「ふざけてやっただけだったのに」 春川の自供を聞いている分には、それが「ふざけて」やることなのか?と我が耳を疑いました。 個々の主観にゆだねられる部分ではありますが。 ひょっとしたら私はこの中之島公演で、客演に平和主義の(笑)バッファロー吾郎の木村さんがいらっしゃることで、「シーンシフターズ」のような、美しいお話を期待していたのかもしれません。 少なくとも木村さんがいることで、ブラックさは抑えられるのでは?と考えていました。 だって「久さんの脚本は人が死ぬから嫌」とおっしゃる木村さんですよ(笑)。 でも、立て続けにこうしてブラックな公演を見せられてしまうと、ブラックさもプランの公演の魅力であると分かっていて、そこがまた良い、と思っているにも関わらず、怖くなってしまった臆病な自分がいました。 …まさに、人の弱い部分、醜い部分をさらけ出してみせてくださるようなお話でしたから。 さて、色々な感想の飛び交った「地上最低のショウ」ですが、 ストーリーも浅くオチもある程度読めてしまい、答えの出ない問題提起にもやっとする舞台。 忙しい中書かれたことは一目瞭然であるので、その中で質のいいものを求めるほうが無粋というものなのか? でも、 例えばこれは私が見た公演でのエンディングトークの部分であるので、そこだけを拾って「こうだ」と言う題材にはならないかもしれませんが、 例えばテントのそばを救急車が通った時、ゴエさんは自分の見せ場をちゃんと観客に「見せる」ため、セリフを調整していたり、 例えば同じくエンディングトークで、バッファロー吾郎の木村さんが、「ここで仲良くなった原田君を助けるために…」と言ったのを聞いて、ああ、やっぱり演者の方は、ちゃんと誰がどうなってという心の動きもしっかり読み取っているんだ、と思いましたし、 演出でのオープニングの作りはやはり凝ったもので、手を抜いている風にはとても思えません。 みな、彼らが今できる精一杯のことを演じて、今出来る力全てを使った舞台へと仕上げているように、私は感じました。 けして手を抜くことをしない、というか、手を抜いた舞台なんて出来ない人たちだと思うんです、彼らって。 舞台が終わったあとに他の方の感想を覗けば、賛否両論ある公演。これを見ることができたというのは本当に嬉しいことでした。 「とても良かった」と賞する人がいれば、「一体どうしちゃったの?」と評価する人もいる。 そんな不思議な公演、実際に見ていなければ、どうしてなのか、考えようにも考えられませんよね。 この地点から、彼らがどう変わっていくのか。 楽しみです。 |
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簡略して書くとこうかな
中之島演劇祭で4回だけ上演され映像にもなっていない作品なので
確かなことは云えませんが、
この作品は他の作品よりどこか頭にひっかかるところがあります。
拙いけれども、中に人が見直さなくてはならない重要なテーマが含まれているような、そんな感じですか?
その中のひとつが誰も面と向かって謝らないことです。
過去に春川をいじめたクラスメイトたちは勿論、
飲酒で人身事故を起こした新高も
借金で友達に迷惑をかけたMr.カーンも。
誰も、自分の口から相手に対して謝罪の言葉を述べていません。
謝罪すら頭にない人もいます。
そのため、この作品を見てからずっと「贖罪」ということについて考えています。
仲間に対する思いやりや優しさの素晴らしさを描く人はいくらでもいますが、
そうはでない人間に対する無関心を描く人はあまりいないような気がします。
ですから、この作品をきっかけにもう少し前に進むことができればと思っています。
確かなことは云えませんが、
この作品は他の作品よりどこか頭にひっかかるところがあります。
拙いけれども、中に人が見直さなくてはならない重要なテーマが含まれているような、そんな感じですか?
その中のひとつが誰も面と向かって謝らないことです。
過去に春川をいじめたクラスメイトたちは勿論、
飲酒で人身事故を起こした新高も
借金で友達に迷惑をかけたMr.カーンも。
誰も、自分の口から相手に対して謝罪の言葉を述べていません。
謝罪すら頭にない人もいます。
そのため、この作品を見てからずっと「贖罪」ということについて考えています。
仲間に対する思いやりや優しさの素晴らしさを描く人はいくらでもいますが、
そうはでない人間に対する無関心を描く人はあまりいないような気がします。
ですから、この作品をきっかけにもう少し前に進むことができればと思っています。
無題
「ごめん」と謝りの言葉が、確かにないですね…。
>仲間に対する思いやりや優しさの素晴らしさを描く人はいくらでもいますが、
>そうはでない人間に対する無関心を描く人はあまりいないような気がします。
これ、ほんとにあゆかさんの仰るとおりで、ふむふむと頷いてしまいました、全くです。
「人の思いやりや優しさ」をテーマに描かれた作品なら、沢山ありますよね。
というかむしろ、そういったものが大前提で書かれている作品が多いのではないでしょうか?最後にはハッピーエンド…、と書くと、ちょっと意味合いが違う感じになってしまいますが。
「地上最低のショウ」って、そんな「大前提」を全く無視して書いているような、そんなイメージです。
そういった、「ごめん」という感情がすっぽ抜けてしまったような作品…?
なかなか、興味深いです、ほんとに、その辺は。
こんなん書けるのは久さんぐらいだ…なんてことさえも思ってしまいます。
ただ、
>そうはでない人間に対する無関心を描く人はあまりいないような気がします。
…とは言え、本人、そんなこと何も考えずに書いたような気がする、という感覚が拭えないのはなぜ…^^;
この頃はハードスケジュールで、何本も書かなければならなかった、というシチュエーションがそう思わせているのかも…。
なので、「この作品をきっかけにもう少し前に進むことができれば」、とは、あんまり思えないですね…わたしは、なんだか。
「こんなん書いちゃって、これからあとに久さんが世の中に発表する作品は、一体どんな風になるの?」
…みたいな、感情でしょうか。うーん、一緒??(笑)
久馬さん自身が、この見終わったあとのもやっと感を狙って、それを意図して、まさにわたしたちが思っているようなことを思ってほしい、と思って書かれたなら、この公演を振り返って、更に進んだものも、出してくれそうな気がします…が、
…果たしてこうなることを予測して書いていらしたのかなぁ…?と疑ってしまうと、そこから先に行くことは無理なような気がしてしまいます。
>仲間に対する思いやりや優しさの素晴らしさを描く人はいくらでもいますが、
>そうはでない人間に対する無関心を描く人はあまりいないような気がします。
これ、ほんとにあゆかさんの仰るとおりで、ふむふむと頷いてしまいました、全くです。
「人の思いやりや優しさ」をテーマに描かれた作品なら、沢山ありますよね。
というかむしろ、そういったものが大前提で書かれている作品が多いのではないでしょうか?最後にはハッピーエンド…、と書くと、ちょっと意味合いが違う感じになってしまいますが。
「地上最低のショウ」って、そんな「大前提」を全く無視して書いているような、そんなイメージです。
そういった、「ごめん」という感情がすっぽ抜けてしまったような作品…?
なかなか、興味深いです、ほんとに、その辺は。
こんなん書けるのは久さんぐらいだ…なんてことさえも思ってしまいます。
ただ、
>そうはでない人間に対する無関心を描く人はあまりいないような気がします。
…とは言え、本人、そんなこと何も考えずに書いたような気がする、という感覚が拭えないのはなぜ…^^;
この頃はハードスケジュールで、何本も書かなければならなかった、というシチュエーションがそう思わせているのかも…。
なので、「この作品をきっかけにもう少し前に進むことができれば」、とは、あんまり思えないですね…わたしは、なんだか。
「こんなん書いちゃって、これからあとに久さんが世の中に発表する作品は、一体どんな風になるの?」
…みたいな、感情でしょうか。うーん、一緒??(笑)
久馬さん自身が、この見終わったあとのもやっと感を狙って、それを意図して、まさにわたしたちが思っているようなことを思ってほしい、と思って書かれたなら、この公演を振り返って、更に進んだものも、出してくれそうな気がします…が、
…果たしてこうなることを予測して書いていらしたのかなぁ…?と疑ってしまうと、そこから先に行くことは無理なような気がしてしまいます。